阿南市議会で再議


6月2日、徳島県の阿南市議会で再議に対する採決が行われ、前回と同様の結果となりました。

「再議」は、地方自治法に規定のある制度で、簡単に言うと、議会の決定に対して首長が「審議をやり直してくれ」と要求する制度です。細かく言うと案件の内容によって違いがあるのですが、大雑把には、議会の能力やルール(法や規則で定められたもの)を逸脱しているケースと、そういうことではなく、単に首長が「議決結果が気に入らんからもう一回やってくれ」というケースに分けることができます。(特別的拒否権と一般的拒否権なんていう言い方をします)

今回の阿南市議会のケースは前者で、「政策監」の人選に関して議会側が「それには議会の同意が必要だ」という条例改正案を議員提案で出して3月の議会で可決しちゃったのですが、「いやいや、政策監は市長の秘書職みたいなものなので、議会の同意は必要ないでしょ。それを議会の同意が必要とすることは議会の権限を超えてるんじゃないですか」ということで、審議のやり直しを要求したものです。(「再議に付す」なんて言い方をします)

先ほど再議のパターンを大きく2つご紹介しましたが、今回のような「権限を越えているんじゃないか」という理由でのやり直しの場合は、前回と同様の過半数議決で結果が決まります。ということは、よほどのことがない限り、前回の議決結果と変わることがありません。これは、単に技術的に違法な議決をしてしまったことをやり直す場合などは前回と同じ議決結果になってもそう問題はなかろうという優しさも含まれているのかなと、勝手にそんなことを思っていますが、今回のような市長と議会の争い的な内容ではいまいちの制度なのかなとも思います。

もう1つのパターンの「結果が気に入らないからやり直してくれ」というのは、政治的な駆け引きの要素が強くなってきますので、再議決のハードルは上がって、3分の2以上の賛成がなければ可決・成立しません。こちらで再議にかけていれば、ひょっとしたら結果は違っていた……のかどうかは可決時の賛否の状況などがよく分かりませんので何とも言えませんが、本当に結果を変えたいと思うなら、やはりこちらで勝負したかったところですね。内容は「条例の改廃」なのでこちらでもできたと思いますが、ただ、こちらの場合は「議決結果の送付を受けてから10日以内」という制約があるので、時間的に間に合わなかったのかもしれませんね。

全国的に見れば、再議は時々あるようですが、阿南市議会ではここ20年ほどではなかったとのことです。

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