議会の速記者について④

さて、音声認識の登場です。今ではAIによってかなりの認識率となってきましたね。これを使えば会議録はその場でできると考えておられる方も多いでしょうが、そう簡単に会議録はできあがりません。

まずは認識率で言うと、現在は最高でも95%ぐらいと言われます。もちろん、話のあらすじを理解してもらうとか、そういう用途では一定活用できると思いますし、会議録作成のソースとしては使用できるでしょう。ただし、委員会などでは、録音機器や運営の仕方、話し方の問題で認識率はがくんと落ちる例もあります。私の経験では、委員会で1人1台のマイク(赤外線方式)のもので認識させると70%ぐらいに落ちていました。

会議録は地方自治法で作成が義務づけられたもので、永久に残されていく公文書です。将来的には文化的な価値も持つ、第一級の史料となっていくものです。なので、できるだけ正確につくらなければなりません。70%では話にならず、95%でも、1定例会分で考えると膨大なミスが含まれている計算になります。

それを担当職員が録音などと照合してミスを1つ1つ潰していき、最終的にはほぼ100%に仕上げなければなりません。これはなかなか大変な作業となります。内部に速記者がいれば任せておけばいいのですが、委託をしているところでは、収められる原稿の質が大きく物を言います。いい業者を捕まえたとろはラッキー、そうでないところはご愁傷様ということですね。

いい業者を捕まえたところは、どうか放さないようにしてください。ご愁傷様というレベルのところは、一度ミスの比率を計算してみるといいと思います。仮に90%ぐらいしかないのなら、音声認識と変わりませんからね。高い委託料を払って外注して90%ぐらいの正確度の原稿しか返ってこないのなら、音声認識も選択肢の一つになると思います。