杉並区議会、渋谷区議会でインボイス延期の意見書を可決

2023年6月19日に杉並区議会が、翌20日には渋谷区議会が、インボイス制度の実施延期を求める意見書を可決しました。杉並区議会が都内の先頭を切った形で果たしてどれぐらい続いてくれるのか、注目されるところです。

全国商工団体連合会の調査によると、昨年12月末時点では全国の145議会でインボイス制度の中止・延期を求める意見書が可決されているとのことです。その後も増え続けてはいるようですが、まだまだ全体から見ると1割程度といったところでしょうか。地方の実情をよく知っているはずの地方議会、もっと増えてもいいように思うのですが……。

私は個人的にはインボイスは反対で、私のような零細業者にとって今回の制度は拷問のようなものです。「東洋経済」に掲載された碓井幸介さん(公認会計士・税理士・司法書士)の「インボイス賛成派は理論・理屈を重視しており、反対派は現実に注目している」との指摘はまさにそのとおりと思いますし、このような議論を聞いていると、やはり釈然としません。ただ、ここで反対を声高に叫んでも仕方がないので、今回はこういった事柄についての地方議会の果たす役割についてのお話です。

要は、地方議会の議員さんは「個人の考えを優先してくださいね」ということです。国が推進している制度に対して地方議会が反旗を翻さねばならないことも実際にはあるわけですが、政府・与党に与する地方議会議員は、その「お上」の考え方を金科玉条のごとく捉えるのではなくて、自分の目と耳で現場の声を聞いて、その上で大局的な判断をしてほしいということです。

一般庶民から見れば明らかに国の考えがおかしいと思うようなことでも、地方議会が唯々諾々とそれに追随するような形は何回も見てきたような気がします。もちろん、各議員が熟慮を重ねた上での判断なら何も文句を言うつもりはありません。しかし、前にも指摘した「会派」というものの存在が大き過ぎて、その考え方に呑み込まれてしまってはいる面もあるのではないでしょうか。

いわゆる野党的な立場の会派から出てくるものは無条件にひねり潰せという考え方は論外として、自分でも「確かに一理あるな」と思うような内容であっても、お上のご意向には逆らえないので現場は見なかったことにして数の力で潰してしまうというのでは、わざわざ定例会を開く意味も、議会という機関の存在意義もなくなってしまうと思います。

国会議員と地方議員では、その「聴いている声」が違うはずです。そこをベースに自分の政治信条をしっかり持って、それこそ是々非々で考えてほしいなと、これはインボイスに限らず、全ての事柄についてそう思います。そういう意味で、何度も繰り返しますが、「会派」の存在が大きくなればなるほど、その地方議会の存在価値は小さくなると思います。

蛇足ですが、私は支持政党なしで、どこの政治的な団体にも所属していません。宗教は仏教ですが、盆と正月にお墓参りをする程度です。