再議

2023年7月7日、宮崎県の延岡市議会で、救急搬送などへの活用を目指している「空飛ぶクルマ」の飛行実験費用などの補正予算を削減した修正案が可決されました。一言で言うと「空飛ぶクルマ」関連の予算が認められなかったということで、これに対して市長は再議に付すこととなりました。

「再議」とは、手元の辞書によると「すでに決定した事柄を、不十分であるとして再び同一の機関が審議すること」とあります。地方議会の場合は、地方自治法第176条に規定されているもので、要は、議会の議決したことについて首長に異議がある場合、「もう一回審議してくれ」とやり直しを求めることができるわけですね。

地方自治法第176条第1項による再議の規定は、再議に付することが「できる」ですが、同条第4項の規定(越権や違法な議決)に当たるときは、再議に付し又は再選挙を行わせ「なければならない」となっていることに注意が必要です。

さらに、同法第177条では、法令により負担する義務的経費、災害対応や感染症予防に必要な経費が削減・減額されたときも、再議に付さ「なければならない」となっています。さらに、災害対応や感染症予防関係費の削減・削除は、再議によっても同様に削減・削除されたときは、首長はその議決を不信任議決とみなすことができることになっています。この場合、首長が辞職するか議会を解散するかの選択をしなければなりません。

再議は、議決の日から10日以内に理由を示して再議に付さなければなりません。条例や予算に関するものは出席議員の3分の2以上の賛成、他の議案は過半数の賛成で決することとなります。今回の延岡市議会の場合は予算案の修正減額ですから、再び同じ結果とするには3分の2以上の賛成が必要となります。前回の議決がどれぐらいの賛成数で可決されたのかが分かりませんが、一般的にはハードルはかなり上がることになります。

ウィキペディアによると、読谷山(よみやま)市長は、2018年、前市長の後継とされた自民・公明・民進・連合などの推薦を受けた候補を破って初当選し、前回の2022年1月の選挙でも自公推薦の元県議を破って2期目の当選をされています。

宮崎放送ニュースによると、市長は「認められなかった理由が時間がなかったとか、あるいは先に説明がなかったという、非常に私どもからすると到底受け入れがたい理由で否決されてますので、それは絶対に受け入れるわけにはいかない」と言っているようです。2回の選挙を結果を見ると、何となく裏の事情も透けて見えてくるような気もしますが……。

今年3月24日の定例会でも、一般会計予算案のうち歴史・文化ゾーン内駐車場管理システム等整備事業に係る1億3500万余円の予算が減額修正され、市長が再議に付しています。3月28日に開かれた臨時会では3分の2以上とならずに前回の修正議決は否決され、元の補正予算案の原案を採決したら可否同数となり、議長の裁決で否決となったようです。

この場合、年度末ぎりぎりの3月28日に予算案が否決されてしまったわけですから、やむを得ず、市長が同システム事業費を除いた予算の専決処分を行ったようです。この事例を見ると、今回もまた再議で元に戻りそうな気もしますが、どうでしょう? この決着は臨時会でつけられることになります。

なお、延岡市は、人口約11万3000人、議員定数は27人、常任委員会は、総務政策委員会、産業建設委員会、厚生教育委員会の3つ、特別委員会は現在ありません。あと、議会運営委員会という構成です。