香川県議会の海外視察問題
2023年7月10日の香川県議会本会議で、議員8人の海外派遣が決定されました。議長を除く40人のうち37人が賛成し、派遣が決定したとのことです。
報道によると、今年11月に予定されている、パラグアイ県人会創立50周年、ブラジル県人移住110周年の記念式典に出席、経由地のロサンゼルスでも県人会と懇談することなどが目的とのことです。知事も行くとのことなので、それなりに意義のあることでしょうし、「行くととても喜んでくれる」というような思いもあるのでしょう。ただ、何人行けばいいのか、知事と議員だけなのか、他の例えば経済界の人などは同行しないのか、といったことは分かりません。
8人という人数も議論のあるところですが、最も問題となっているのは、その費用でしょう。8人で総額約2100万円、1人当たりにすると263万円と、なかなかの額になります。飛行機はビジネスクラスですが、これは県条例に基づくもの、ホテルは最高1泊6万6000円とかなり高額だと思いますが、知らない外国のことなので私には何とも……。
この件については、市民団体から、海外視察の見直しや中止を求める陳情2件が出ていましたが、それは不採択になったとのことです。そして、本会議では議員派遣について、冒頭で述べたとおりの採決結果で決定されました。
議員派遣というのは、香川県議会の会議規則第125条で規定されているものです。地方自治法第100条第13項の規定による派遣の可否を議会が決定する形になっています。地方自治法第100条第13項は「議会は、議案の審査又は当該普通地方公共団体の事務に関する調査のためその他議会において必要があると認めるときは、会議規則の定めるところにより、議員を派遣することができる。」で、今回の場合は後段の部分の適用ということになります。
海外視察というのは、本当に必要があるなら行ってもいいと思いますが、地方議会レベルではそんなに機会はないと思います。「まず県内(管内)調査を充実させよ」とあるベテラン議員がおっしゃっていましたが、私もそのとおりだと思います。今回のような周年事業への参加は、う~ん、どうなんでしょうね。私はやや懐疑的ですが、まあそれについてはいろいろ考え方があるので、何とも言えませんが、正副議長だけでも十分じゃないのとは正直思いますね。
ただ、今回これだけ問題にされているのは、やはり過去の事件が絡んでいるのだと思います。2017年に民放テレビ局に海外視察が極秘追跡され、9日間のうち実際の視察時間は4時間だけで大半は観光だったと報じられて大騒ぎになりましたね。そして、違法な海外視察・旅行の旅費返還が命ぜられた判決は2021年に確定しています。
そういう「前科」があったところに、今のような物価高への不満渦巻く時期に新たな爆弾を投下してしまったというような形になるのでしょうか。参加予定の議員のうち1人は辞退されたということですが、今後もいろいろと尾を引きそうな案件だと思います。
香川県議会といえば「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」がすぐ頭に浮かびますが、附則にある「施行後2年を目途とする再検討」についてはどうなっているのでしょうね。ネットの情報を拾う限りでは特段何も行われていないように思いますが。少なくともどんな効果があったのかは知りたいところですね。そちらにも結構なお金を使っているようですし。
香川県は、人口約92万7000人、議員定数は41人、常任委員会は、総務委員会、環境建設委員会、文教厚生委員会、経済委員会の4つ、特別委員会は、総合防災対策特別委員会、少子化対策特別委員会、県立アリーナ整備等に関わる特別委員会、デジタル田園都市推進特別委員会の4つ、あと議会運営委員会という構成です。