「君」か「さん」か

2023年7月12日の沖縄タイムスに、沖縄県議会の本会議で議長が議員や執行部を呼ぶ際、男性は「君」、女性は「さん」を用いていることについて、議会運営委員会で「統一しては」との意見が出たので、議長は新たな敬称の運用を近く説明する意向との記事が出ていました。

こういった話はよくあるのだと思います。ずっと慣例的に「君」を用いてきたけれども、途中で誰かから意見があって「さん」を使い出したというようなことですね。国会では土井たか子議長が最初に使ったというような話も聞きますが、さて、地方議会ではどうしたものでしょう。

結論を言えば、各議会で御自由にお決めくださいということです。従来の「君」でも全然問題ないし、逆に「さん」で統一しても問題はありません。議会の先例集などで一応の申合せがある場合はその変更が必要になりますが、少なくとも法令では何ら決まっていないので自由です。

ただ、男性は「君」、女性は「さん」というのは、今の時代もうやめておくほうがいいでしょうね。「さん」を使うなら男女の区別なく「さん」で統一すべきだと思います。

「君」は、もともとの意味からすると誰にでも使えるものです。しかも、「君」を使い始めたのは吉田松陰だということで、それがそのまま伊藤博文に引き継がれたという説もあります。「大君」など敬称としては問題のない「君」なので、それで統一する形でいいと思いますが、まあ、あとは好みの問題でしょうか。

一般住民との交流という点で敷居を低くしたいという意図で「さん」などの柔らかい言葉にするのもありでしょう。そういえば、英語の「Mr.」などはどうなのかという疑問が湧きましたので、ちょっと調べてみました。

男性に対しては「Mr.」、女性に対しては「Miss」や「Mrs.」で、女性の2つは「Ms.」としてまとめてもいいと、これは習いましたね。では、性別不明のときはどうするか。実は「Mx.」というものがあるそうです。ただし、これはいわゆるトランスジェンダーとは無関係の、メールなどを送るときに相手の性別が分からないというときのものだとか。

じゃあ実際の場面ではどうなるのかということですが、メールの場合などは「Dear 〇〇」とか「Hello 〇〇」でいいらしいですね。近しい間柄なら「Hi, XXX」とかもありで、相手の社会的地域が分かっていれば、「Dr.」や「Prof.」などを用いるのもいいということです。

話が少しそれましたが、議会でも議員のことを「〇〇先生」と呼んだりしますが、社会的な地位を表す「〇〇議員」でいいわけで、そうすると、本会議などでの呼称も全て「議員」で統一すればすっきりしていいのかもしれませんね。当局のほうも「知事」や「市長」、「町長」、「村長」はもちろん、「部長」などと役職名でいけますし。

呼び方は「〇〇〇〇議員」とか「〇〇〇〇市長」、「〇〇〇〇部長」と呼ぶほうがスムーズですね。「市長、〇〇〇〇」と呼ぶと、最後の敬称を何にするかといった問題が生じてきます。