山形県議会で「1日1回は笑う」条例を可決

条例は、国の法律とは別に地方公共団体が独自に定められるもので、言わばその地域独自の法のようなものです。全自治体で同じような条例もあれば、それぞれユニークな視点で様々な条例が定められています。

2024年7月5日、山形県議会では、「1日1回は笑う等、笑いによる心身の健康づくりに取り組むよう求める」との条例が可決されました。この手の条例は、特に何かの制度を定めて、お金を取ったり、あるいは罰則を設けたりするものとは違い、「理念条例」という言い方をされたりします。口の悪い人は「単なるお題目」とも言いますが、私はある種の宣伝みたいなものだと思っています。

もちろん、中には稀に感心する内容の理念条例もあるのですが、個人的には余り好きではありません。「何を当たり前のことを……」と思うようなものも多かったりするんですよね。「条例」なんだから、それなりの重みや意義を十分考えてほしいなと思うことのほうが多いです。

さて、今回の山形県議会の条例、正式名は「山形県笑いで健康づくり推進条例」です。ごくざっくりまとめてしまうと、「笑うことは健康にいいので、みんなで笑って健康な生活を送りましょう」ということですね。そのために、毎月8日を笑って健康づくりの日にするとともに、県と事業者、県民の役割を明らかにしますと。で、以下、それぞれの役割、県は笑いによる健康づくりの意識啓発、事業者は笑いに満ちた職場環境の整備等、県民は笑いの効果を理解して1日1回笑う等、心身の健康づくりに取り組むとされています。

全6条から成る条例ですが、最後の第6条に、「事業者及び県民は、この条例の実施に当たっては、個人の意思を尊重し、及びその置かれている状況に配慮するものとする。」とあります。採決では全会一致ではなく賛成多数で、「人権軽視」として反対に回る議員もあったようですね。まあ、無理やり1日1回笑えというわけではないですが、何か圧を感じてしまうようなこともあり得るというようなことでしょうか。

「常に笑っていれば幸せになれる」ということはあるのでしょうが、逆に、「幸せじゃないと笑えない」ということも現実にはあるわけで、今のように物価が高騰し、賃金のアップはそれに追いつかず、最低賃金しかもらえない人は月に20日間フルタイムで働いても生活保護費に遠く及ばないなんていう話も聞くと、まずは住民の生活が立ちゆくような施策をしっかりしてほしいと思ってしまいますね。