都道府県議会制度研究会報告書(4)
4つ目の提言は、「予算修正権の制約を見直す」ことです。何のこっちゃと思われる方もいらっしゃるかと思いますが、これは、地方自治法の変更のお話になってきます。
地方自治法第97条第2項では、「議会は、予算について、増額してこれを議決することを妨げない。但し、普通地方公共団体の長の予算の提出の権限を侵すことはできない。」とされています。
そもそも、議会には予算を提案する権利が認められていません。地方自治法第112条で「普通地方公共団体の議会の議員は、議会の議決すべき事件につき、議会に議案を提出することができる。但し、予算については、この限りでない。」と、明確に否定されてしまっています。議会は、首長が提出してきた予算案について、議会は修正をすることしかできないというわけです。
ところが、その修正についても、上の97条第2項のような制約がかかっています。簡単に言うと、予算の修正については、多少の金額の増減などは議会でできるが、予算原案を根底から覆してしまうような大幅な修正は駄目よということですね。例えば、長が教育費の大幅な減額予算を出してきたのに、議会がそれを逆に大幅増額するようなことは駄目だということです。
提言の主張は、議会という機関が最終的な決定を行う権限を持っているのに、そこで修正ができないというのはおかしいのではないかということです。確かにそうだと思いますが、かといって、長の予算案を無視するかのような、根底から覆すような修正をされても困ってしまいます。特に、お金の裏付けもないのに、大幅な増額修正をされても執行部としては大変なことになりますね。
私は、小さな幅の修正なら現行法でできるのだから、もし大幅な変更をしたいというなら、予算組替動議などでやるほうが現実的だと思うのですが、どうでしょう。