縦と横
久しぶりに会議録です。会議録は縦書きがいいのか、横書きがいいのかということです。既にどちらかの形で発行されているのでどうでもいい話かもしれませんが、一応、基本的なことだけ確認しておきましょう。
まず、会議録は公用文です。なので、基本的には公用文の基準に従った「横書き」で考えたらいいと思います。法では何の指定もありませんから、特別な事情があればほかの形でも構いませんが、今の時代、ネットでの公開も当たり前になりましたので、横書きのほうが便利かなとは思います。
横書きで迷うのは数詞の書き方でしょうか。例えば、「一番」と「1番」は、使い分けないといけない場面も出てきますね。「俺はあんこが一番好きだ」だろうし、「100メートル走で1番になった」だろうし。
一番悩ましいのは概数でしょうか。「ニサンジュウ」というやつですね。縦書きなら「二、三十」で解決ですが、横書きの場合、「2~30」とか「20~30」とか、いろいろな書き方が考えられます。日本速記協会発行の「標準用字用例辞典」では「概数は漢字」とされているので「二、三十」でいいわけですが、これも数字が大きくなってくると悩ましいものがあります。
例えば、「いちおくにせんさんびゃくよんじゅうごまんろくせんななひゃくはちじゅうごろく」と言われたら? 「一億二千三百四十五万六千七百八十五、六」となるのが原則ですが、横書きで算用数字がいっぱい並んでいる中では違和感が強いですね。かといって「1億2345万6785~1億2345万6786」は発言との乖離が大きいし、「1億2345万6785~6786」というのも中途半端だし。「1億2345万6785~6」あたりが無難かなとも思いますが、果たして正確に読み取ってもらえるのかという不安もありますね。
縦書きならこういう悩みはなくなりますが、ただ、縦書は英文などの表記が苦手です。議会での発言は日本語でないと駄目ですが、英語の短文を引用された場合など、ちょっと面倒なこともありますね。
ちなみに、国会会議録は今でも縦書きです。あと、日本の主要な新聞も縦書きです。法律書などもそうですね。国語辞典もほとんどは縦書きです。本来、日本語というのは縦書きが読みやすくできているので、そういうものがまだ多いのでしょう。小節にしても、ほとんどは縦書きですよね。
ということで、私は縦書きの信者ではありませんが、もし現在も縦書きを採用しているのなら、慌てて横書きにする必要もないのじゃないかなと思います。