「発言取消」を考える(2)


発言取消があった場合の基本的な処理ですが、取消が認められると、「その発言はなかったもの」として扱われますので、配付用の会議録からは削除されます。これは前回述べたとおりですが、この場合、その取り消された発言を別の人が引用して発言した場合、その箇所も同じ形で取り消される形になります。

これは、本人が取り消したいと申し出て、議会がそれを認めて取り消された発言が、別の場所でそのまま残っていたのでは取消の意味をなさないということから、同様に「━」などで伏せ字にされることになります。

今回の足立区議会の場合、御本人が陳謝発言の中で取消になる箇所の文言をそのまま繰り返して発言していますが、当然、その部分も同じ処理をしなければなりません。また、取消が認められた後に出された問責決議に対する討論の中で、ある議員がやはり問題の表現を引用されています。そこも同様の処理がなされなければなりません。

と、ここまでの処理は問題ないと思うのですが、実は、問責決議案の文案の中に、問題の表現がそのまま記されてしまっています。これはどうしたものでしょう。本来、決議案をつくるときにその辺も配慮しておけば問題はなかったのですが、今回はもろに出ていて、その文言は今でもホームページで閲覧できる状態です。これでは取消処理の意味がなくなってしまうわけです。

さらに、動画でも該当の箇所は配信されています。つまり、本会議で問題の発言は取り消されたとはいうものの、その発言がどんな発言であったかは容易に知り得るわけです。もちろん、既にマスコミ報道などでもその辺は情報が拡散されてしまっており、少し検索すれば簡単に見つけることができる状態です。

こうなってくると、会議規則で明記されている発言取消とは一体どういう性格のものと考えたらいいのか、ちょっと目眩がしてくるわけです。いや、本当に目眩がしてきたので、今回はここで。

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