先遊後楽
遅くなりましたが、明けましておめでとうございます……と呑気に言ってられる状況ではなくなってきましたね。コロナ、一体どうなっていくのでしょうか。
今回のタイトルは、為政者の心構えとしても有名な四字熟語で、御存じの方も多いと思います。もちろん、「遊」の字は嫌みでわざと間違えたもので、正しくは「先憂後楽」ですね。人より先に憂いてあれこれ先手先手を打って国民の安心安全のために努め、自分が楽しむのはその後というような意味になります。
ところが、現状はちょっとお寒い。国民には我慢を強いて、自分たちは先に遊んで、後でも楽しむ。総理大臣をはじめ、大物議員まで、信じがたいような愚行の連続となっています。地方は頑張っているので大丈夫かと思っていたら、全国知事会の会長さんをはじめ、あちらこちらで醜い言い訳ばかり聞くようになって、本当に嫌になってきますね。
議員は人と会わないと仕事にならない、ちゃんと気をつけて会食している、確かにそうでしょう。しかし、それは議員以外でも同じこと。そういう言い訳は、まるで自分たちが特権階級で、「俺たちは下々の一般国民とは違うんだ」というような錯覚に陥っているんじゃないかと思えて、実に腹立たしいですね。「議員の会食基準を定めよう」なんてまさに噴飯物で、どこまで低レベルな人たちなんだと思わずにはいられません。
リーダー(もはやそう思えませんが)と言われる人たちの気の緩みは、そのまま社会全体に広がります。人より先に憂い、早め早めに手を打つために心血を注ぐのが為政者の為政者たる資質だと思うのに、実際は完全な「手遅れ」と「やったふり」ばかり。ここまで政治家の質が落ちてしまったのかと、本当に情けなくなります。
今年の大河ドラマで描かれる渋沢栄一は、常に「論語」に照らして己の行動を律してきたそうです。今のお国のお偉いさん方は一体なにを己の行動規範としているのでしょうね。菅総理の座右の銘は「意志あれば道あり」。いい言葉ですが、意志が周りと乖離して、道が恐ろしいほど狭いとなると、それは「頑迷固陋」と言うのだと思います。
まあ、ぼやいても私にはどうしようもないので、ひたすら念仏を唱えるのみ。テンモウカイカイソニシテモラサズ、テンモウカイカイソニシテモラサズ、テンモウカイカイ…………。