「十把一絡げ」では……


「十把一絡げ」という言葉はご存じでしょうか。いろいろなものを単純に一つのカテゴリーなどでくくって扱うというような意味ですね。

地方議会のことについてあれこれ考えているときに、常に気になるのがこの「十把一絡げ」ということです。議会に限らず、地方公共団体でもそうですが、一つ一つかなり事情が違うのに、1つのくくりで扱われてしまうことが多いことにすごく抵抗感があります。もちろん、このプログも「地方議会」というタイトルで、ある意味1つにはなってしまっているので、十分気をつけなきゃいけませんが……。

確かに、1つのカテゴリーでくくってしまえば話がしやすくなるのは事実ですが、油断をすると、一つ一つ事情が随分違うことを忘れてしまいます。例えば、コロナの関係でライブハウスが目の敵にされてしまいましたが、ライブハウスと言ってもいろんなお店があるわけで、確かに、大勢がすし詰め状態で激しく踊ったり叫んだりする、いかにも危険なところもあれば、ステージと客席の距離も十分、客席もテーブルなどを挟んでゆったりしていて換気も十分、そんなに多くの人数は入らないし、その辺の喫茶店と変わらないような状況で、客も全員着座のまま静かに耳を傾けるだけというようなところもあるわけですが、「ライブハウス」というくくりで一網打尽にされてしまったわけです。

一つ一つ細かな説明を加えて分類してということが難しいことは分かりますが、ひとまとめにされるほうはたまったものじゃありませんね。こういう考え方に陥らないように、地方議会を論じるときにも気を使わなきゃいけないなと、これはコロナ騒ぎのずーっと前から思ってきたことです。

例えば、「地方議会はこうあるべきだ」的な話があちこちでされたりしますが、それは、確かに地方議会全体に等しく言えることの場合もあれば、「いやいや、議会によっては全然事情が違うでしょ」というような話も結構多いわけです。財政や人口規模の違いなど、みんな十分理解しているはずなのに、その辺が余り考慮されないまま話が展開していくことも多いように思います。

少し具体的に言うと、一番規模の大きな地方議会は東京都議会で、議員数は127人です。逆に、最小の地方議会は和歌山県の北山村や沖縄県の北大東村で、議員数は5名です。もちろん、それをサポートする議会事務局の体制も全然違うわけで、東京都は140人以上と議員の数より職員のほうが多いですが、町村議会では2~4人しかいません。

議会改革やらマニフェスト何やらでは、例えば議会報告会の開催などが高得点を得たりしますが、あれも議会の規模を無視しては成り立たない話だと考えています。例えば、前出の北山村、人口は430人、世帯数は280ほどです。そんな規模なら、例えば1回で50人ほど来てくれるとすれば、月に1回開くだけでも、半年もやれば大きな意義があるでしょう。ところが、東京都までとはいかずとも、大きな市議会や都道府県議会など、もっと人口の多いところでは余り意味があるようには思えません。「ないよりはまし」といった程度ではないでしょうか。

よく問題にされる議員報酬や政務活動費も、都道府県議会や市町村議会によって大きく事情が異なります。毎月50万円以上の政務活動費をもらっているところもあれば、ゼロのところもあります。議員報酬も、年間1000万円を超えるところもあれば、議員専業では生活が成り立たないほどしかもらえていないところもあります。そういえば、日当制にした議会もありましたね。私の得意分野である会議録作成についても、会議の実時間数や、それに関われる人員数にも大きな違いがあるので、その辺を考えて話をしなきゃいけないなと思っています。

……とはいえ、私も「国会議員は……」というような感じで話をしてしまうことも多いわけです。その辺、十分心してかからないといけないなと、今回はかなり自戒の念を込めて書いてみました。

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