記録のない会議
コロナ専門家会議の議事録が作成されていないとして大きな問題となったことは、皆さん記憶に新しいところだと思います。歴史の教科書に載るような出来事への対応の一丁目一番地の会議の記録がないなんてことはあり得なくて、ちゃんと録音もしているし文字化もしているのじゃないかと思うのですが、まあ、それはさておき、地方議会では会議録の作成は地方自治法で明確に義務づけられています。
条文は以下のとおりです。参考までに記しておきます。
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第百二十三条 議長は、事務局長又は書記長(書記長を置かない町村においては書記)に書面又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下この条及び第二百三十四条第五項において同じ。)により会議録を作成させ、並びに会議の次第及び出席議員の氏名を記載させ、又は記録させなければならない。
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見て分かるとおり、「会議録を作成」して「会議の次第及び出席議員の氏名を記載させ、又は記録」させるとなっていますが、これだけではどんな記録を作ればいいのかがよく分かりませんね。そこで、会議規則で、もう少し具体的なことを決めています。
以下は標準都道府県議会会議規則の条文です。
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第百二十四条 会議録に記載する事項は、次のとおりとする。
一 開会及び閉会に関する事項並びにその年月日時
二 開議、散会、延会、中止及び休憩の日時
三 出席及び欠席議員の氏名
四 職務のため議場に出席した事務局職員の職氏名
五 説明のため出席した者の職氏名
六 議事日程
七 議長の諸報告
八 議員の異動並びに議席の指定及び変更
九 委員会報告書及び少数意見報告書
十 会議に付した事件
十一 議案の提出、撤回及び訂正に関する事項
十二 選挙の経過
十三 議事の経過
十四 記名投票における賛否の氏名
十五 その他議長又は議会において必要と認めた事項
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これは本会議の記録に関してなので、委員会の記録についてはまた別の定めによりますが、このような会議録を作成しなさいと定められているわけです。単に住民の方へのサービスで記録を作って公開しているわけではなくて、法律でちゃんと義務づけられています。したがって、もし会議録を作成しないと地方自治法違反ということになるわけですね。罰則こそありませんが、地方公共団体の議事機関である議会が法の定めを守らないなんていうことは許されるはずがありません。
ただし、定めがあるのはこの程度なので、例えば、いつまでに作成しないといけないのかとか、逐語で作るのか要点で作るのかなど、明確になっていない面も結構あります。法はそこまで求めていないので、あとは常識に照らして考えるよりありませんが、今日行われた会議録の完成が1年も後になるようでは困るし、録音の発達した現在では客観性の点で優位な逐語によるほうがいいだろうというのが一般的な考え方になるかと思います。もっとも、きれいにまとめられた要点記録は読みやすいので、できれば逐語と要点の2本立てでいきたいところですが、なかなかそこまでは難しいでしょうね。ならば、取りあえずは逐語でということでいいのではないでしょうか。
会議録に求められる要素はいろいろありますが、その話はまたの機会に。