議会の議決権


昨日も少し書きましたが、議会というのは、その地方公共団体の最終的な意思決定を行う機関で、その権限については、下記のとおり、地方自治法に定めがあります。

-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
第九十六条 普通地方公共団体の議会は、次に掲げる事件を議決しなければならない。
一 条例を設け又は改廃すること。
二 予算を定めること。

三 決算を認定すること。
四 法律又はこれに基づく政令に規定するものを除くほか、地方税の賦課徴収又は分担金、使用料、加入金若しくは手数料の徴収に関すること。
五 その種類及び金額について政令で定める基準に従い条例で定める契約を締結すること。
六 条例で定める場合を除くほか、財産を交換し、出資の目的とし、若しくは支払手段として使用し、又は適正な対価なくしてこれを譲渡し、若しくは貸し付けること。
七 不動産を信託すること。
八 前二号に定めるものを除くほか、その種類及び金額について政令で定める基準に従い条例で定める財産の取得又は処分をすること。
九 負担付きの寄附又は贈与を受けること。
十 法律若しくはこれに基づく政令又は条例に特別の定めがある場合を除くほか、権利を放棄すること。
十一 条例で定める重要な公の施設につき条例で定める長期かつ独占的な利用をさせること。
十二 普通地方公共団体がその当事者である審査請求その他の不服申立て、訴えの提起(普通地方公共団体の行政庁の処分又は裁決(行政事件訴訟法第三条第二項に規定する処分又は同条第三項に規定する裁決をいう。以下この号、第百五条の二、第百九十二条及び第百九十九条の三第三項において同じ。)に係る同法第十一条第一項(同法第三十八条第一項(同法第四十三条第二項において準用する場合を含む。)又は同法第四十三条第一項において準用する場合を含む。)の規定による普通地方公共団体を被告とする訴訟(以下この号、第百五条の二、第百九十二条及び第百九十九条の三第三項において「普通地方公共団体を被告とする訴訟」という。)に係るものを除く。)、和解(普通地方公共団体の行政庁の処分又は裁決に係る普通地方公共団体を被告とする訴訟に係るものを除く。)、あつせん、調停及び仲裁に関すること。
十三 法律上その義務に属する損害賠償の額を定めること。
十四 普通地方公共団体の区域内の公共的団体等の活動の総合調整に関すること。
十五 その他法律又はこれに基づく政令(これらに基づく条例を含む。)により議会の権限に属する事項
○2 前項に定めるものを除くほか、普通地方公共団体は、条例で普通地方公共団体に関する事件(法定受託事務に係るものにあつては、国の安全に関することその他の事由により議会の議決すべきものとすることが適当でないものとして政令で定めるものを除く。)につき議会の議決すべきものを定めることができる。
-・-・-・-・-・-・-・-・-・-

少し長いですが、上のような権限を持っているわけですね。細かく見ていくとしんどいと思うので、取りあえずは1と2だけでも見ていただけたらと思いますが、この2つだけでもほとんどのことができそうだということはお分かりいただけるでしょう。

ただし、最も重要とも思える予算の提案権は、残念ながら議員にはありません。これは地方自治法に以下の規定があるからですが、この縛りがあるために議会は首長が提案してくる予算案をチェックすることしかできないので、住民から見るとどうも物足りなさを感じてしまうのかもしれませんね。

-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
第百十二条 普通地方公共団体の議会の議員は、議会の議決すべき事件につき、議会に議案を提出することができる。但し、予算については、この限りでない。
-・-・-・-・-・-・-・-・-・-

条例については議員にも提案権がありますし、予算についても一定の範囲内なら修正権も持っています。ただ、例えば、議会に予算案が提出され、全く白紙の状態からそれを詳細に吟味して修正をかけていくとなると、なかなか大変な作業になります。もちろんそういうことをしている議会もあるのでしょうが、議会への提案までに水面下でいろいろやり取りをして、ほぼ完全な形で議会に予算案として上げてくる、したがって議会での議論も限定されたものになるし、修正も余りないというところも結構多いのではないかと思います。

結果として、議会は首長の追認機関であるとか、ひどいときは学芸会や発表会だとまで言われてしまうわけですが、だからといって、議会・議員の考えが全く予算案に反映されていないというわけではないでしょう。ただ、そのやり取りがどこまで表面に出てきて住民の方の目に触れることになるかは、それぞれの議会で事情もやり方も違うわけですね。なるべくオープンにしていこうというのが大きな流れではあると思いますが、シビアな政治判断が行われることもある議会の場では、理想と現実のバランスをどうとっていくか、難しい課題もあると思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です