政務活動費


私は地方議会で会議録作成などに関わってきたので、細かいことに引っかかったりすることも多くて、自分でもなかなかマニアックだなと思うこともあるのですが、元来、結構ずぼらな人間だとは思っています。特定のごく狭い分野ではぎりぎりやったりしますが、それ以外は割と適当な性格です。

まあ、そんなことはどうでもいいのですが、今日は政務活動費のことについて一言述べておきたいと思います。

結論から言うと、私は政務活動費の制度(最初は「政務調査費」でしたね)は、導入の話が出たときから大反対でした。それは今でも同じで、この話題がニュースなどで出るとき、いつも苦々しく思っています。大体、マスコミで報じられるのはろくな話じゃありませんからね。

以下は、真面目で几帳面な性格の人からはお叱りを受けるのかもしれませんが、私の勝手な意見です。

そもそも、政務活動費の話が出たのは、政治家の活動には公務かどうかの線引きが難しい仕事がたくさんある、そして、そういう「半公務」の仕事であっても、その活動を行うにはお金もかかるので、それを何とかしてくれというようなことだったと理解しています。その点については私もそのとおりだろうと思うし、そういう部分でお金が足りないのなら出してあげることについて文句はないわけです。

ところが、その出し方が気に入らないんですね。最初に言ったように、私はずぼらな人間です。政務活動費として月に幾らかもらって、それをグレーゾーンの活動にも使えるようになるのはいいのですが、〇〇には使えるが●●には使えないとか、アウトかセーフかの判定が結構難しいし、領収証をちゃんと保存して、それを一々全部細かく報告して、しかも今ではネットで公開してみんなの目にさらさなければならないわけですね。「ああー、そんな面倒くさいお金なら要らない」と思ったりもするわけですが、条例で決められた金額は嫌でも振り込まれてくるし、全部使えば使ったでいろいろ言われるし、たくさん残すと「おまえは活動していないのか」と言われるし。本当に筋の悪い制度だと思っています。

使途がおかしいと突っ込まれて返還したり訴訟になっているようなこともありますが、それはそもそもこの制度が悪いんだと思います。今のように1円単位で報告するには、そのお金の管理を議員本人か関係者が毎日チェックしなきゃいけませんし、一定期間分がまとめて報告されたら議会事務局などでのチェックも必要になってきます。そして、それが公開されて、事細かにチェックされて、使途がおかしい、監査請求だ、訴訟だなんていうことになってくると、そのたびに、本人はもちろん、関係者の作業もどどっと増えてくるわけです。そうして貴重なお金と時間が費やされる、これはとても無駄なことだと思いませんか。

議員さんの給料についての意見はいろいろあって、それはまた別の機会で述べたいと思いますが、とりあえず、議員の給料だけでは足りない部分があるのなら、しかもその足りない部分のうちのかなりの部分は半公務的なものであるというのなら、その分を給料に上載せすればいいのにと思うわけですね。いわゆる「役職手当」みたいなものが出るところも多いと思いますが、そんな感じで、「政務手当」でも名前は何でもいいですが、そういう形で上積みすればいいのじゃないかと思うわけです。

例えば、所属している委員会に関係する分野の研修会があるから行って勉強したいが、正式な公務ではないから交通費も日当も参加費も出ないということなら、そういう部分を一定考慮した手当的なものでやればいいじゃないですか。もちろん、国会議員みたいに月100万円なんていうわけにはいきませんが、常識的な範囲で、これぐらいは要るだろうという部分は出して、それを超える部分については各自でやり繰りしてくださいでいいじゃないですか。

そういえば、どこの議会かは忘れましたが、私と同じような考え方で議員報酬に組み込もうとして袋叩きに遭っていましたね。まあ、それも分からないではありませんし、今のコロナ禍の中ではこんな話は問題外でしょうが、今のやり方も決していい形だとは思わないということだけは言っておきたいと思います。そんなお金の処理に費やす無駄な時間と労力は、もっと別なところに使えるようにしませんか。

この政務活動費についても、議会の規模で事情は大きく異なります。都道府県議会では100%がもらっていて、金額も月額25~50万円ですが、町村議会では、もらっているのが全体の20%ほどで、その金額も月額平均1万円ぐらいです。この辺は議論をするときには考慮しないといけませんね。参考までに。

なお、政務調査費は略して「政調費」などと言われましたが、今は政務活動費ですから、略すと「政活費」となります。これは「生活費」とややこしいので、会議録では要注意ですね。

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