議員のお給料


先日は政務活動費のことを少し書きましたが、今回はいわゆるお給料(正確には違う表現になるのですが、このほうが分かりやすいと思うので「お給料」とします)についてです。

コロナ禍で世間が大変なとき、議員は満額の給料をもらって、ボーナスも完全支給。そこに逮捕された国会議員にもボーナスが出るなんていう話題も絡んで、批判の的にされています。もちろん、既に地方議会の中には議員のお給料を減額したところもあるのですが、余りそういうことについては報道されなくて、一般的には「高い」と思われている方も多いのではないでしょうか。

ただ、このテーマを考えるときにも、前に述べた地方公共団体の「規模の違い」はしっかり考えないといけなくて、例えば、都道府県議員のお給料と町村議会議員のお給料では大きな差があります。全国町村議会議長会の調査では町村議会議員のお給料の月額平均は21万5000円で、一方、都道府県議会議員では、全国都道府県議会議長会の調査によると月額平均は68万円となっています。これにボーナスや政務活動費などが加わるわけですが、それも一律ではなく、やはり規模の大小で大きな開きがあります。

ということで、大雑把に言うと、小さな規模の町村の議員さんのお給料では、ある程度の年齢になって家族も養ってとなると、議員専業では無理じゃないかと思うぐらいの額になります。一方、都道府県や政令市の議員さんになるとかなりの額になりますが、反面、活動範囲も広くなって、それに伴う出費も増えるのだろうなとも思います。

じゃ、議員としての適正なお給料は幾らなのかということですが、これについては十分な研究がされていないのではないかと思います。基本給的なものの額、各種手当、保険や年金など、総合的に検討して、「これぐらいの額が適当」という判断を、本来はしなければならないのだと思います。そういうところをきっちり詰めないで、「首長がこれぐらだから議員はこれぐらいだろう」とか「よそがこれぐらいだから、うちはこれぐらいだな」とか、そんなことでは駄目なんだと思います。議員さんのお給料についてあれこれ言うときは、ぜひそういうベースの部分からじっくり考えて議論したいものです。

高額な歳費のほかにもいろいろなお金をもらえる国会議員、そしてそれに絡みつくいろいろな疑惑の報道ばかり見聞きしていると、「議員は結構なものよ」と思ってしまうのも無理のないこととは思いますが、議員の活動を真面目にやれば、それはそれは、本当に大変なものがあると思います。それに、何と言っても4年に1回の選挙という関門をくぐらないといけないわけで、そこを通り抜けられなければ、その瞬間から、無報酬、無年金の、本当に「ただの人」になってしまうわけです。そういう部分を考えず、単に「給料が高い」というようなことばかり強調されると、議員のなり手なんて、どんどん減ってしまうのは必定じゃないでしょうか。

外国の議員はボランティアで無報酬だとか、矢祭町のような日当制にしろとか、極端な意見も見聞きしますが、やはり規模と活動範囲、そして政治や行政システムの違いなども十分検討しないと空理空論になってしまうような気がしてなりません。「維新の志士たちのように命をかけて信念のみを貫け」というようなことも分かりますが、それだけでは……ねえ。

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