美作市議会で市長問責決議案を可決


昨日の問責決議絡みで、今度は美作市議会での事例をご紹介したいと思います。

市議会が市長に対して問責決議を突きつけたということで、まあ、ここまではよくある話……と思っていたら、なかなか大変な状況のようで、数少ない情報ではにわかに内容の整理ができないのですが、分かったことだけざくっと記しておきます。

事の起こりは今年の6月定例会。市長から提案のあった教育長選任についての議案を6月18日に議会が否決したことからです。それに対して、市長は翌19日に辞表を提出します。(辞職日は7月25日付)否決には本当に腹が立ったようで、「否決後、市長は承認なく議場を退出した」というような報道もあって、既にこの時点で非常に混乱していたのでしょうね。

ここまではまだ私の想像の範囲内でしたが、驚いたのは次の市長の一手です。何と、否決された教育長選任同意の議案を、まだ6月定例会の会期中である22日に専決処分したというのです。そして23日の本会議で専決処分したことを議会に報告してその承認を求めたということですが、そんなもの議会がすんなり承認するわけがありませんね。

「専決処分」というのは、議会の議決を経ずに首長(このケースでは市長)が独断で決定できるという制度です。ただし、何でもありでは議会の存在価値がないので、前提条件が付けられています。

(地方自治法第179条)
普通地方公共団体の議会が成立しないとき、第百十三条ただし書の場合においてなお会議を開くことができないとき、普通地方公共団体の長において議会の議決すべき事件について特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるとき、又は議会において議決すべき事件を議決しないときは、当該普通地方公共団体の長は、その議決すべき事件を処分することができる。

太線部分がポイントとなる条件ですが、まず1つ目、6月議会は開会中なので、議会は成立しています。2つ目、議会の会期中であるので、いつでも本会議は開けるわけで、時間的余裕がないとは言えません。3つ目、議会はちゃんと「否決」という形で議決をしています。

ということで、いずれの条件にも当てはまらないので、「こんなのでよく専決処分したな」というのが偽らざる実感です。まあ、混乱するのは必定で、結果として市長問責決議可決ということもやむなしかなとも思います。

恐らく、この事例以外にも議会と市長との対立みたいなものがあって、そういうものが積み重なった結果なんじゃないかという気もします。7月26日に市長選挙が行われますが、辞職した市長は再出馬するということなので、はてさてどういう結果になるのでしょうか。

それにしても、審議が進められていた「事業用太陽光パネル税を創設する条例案」がこの騒動の煽りで廃案となってしまったのは残念ですね。「全国初か」と、ちょっと期待していたんですが。

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