都道府県議会制度研究会報告書(1)
令和元年5月から議論が重ねられてきた都道府県議会制度研究会から、今年3月末に最終報告が提出されました。同研究会は全国都道府県議会議長会に設置されたもので、設置当時の委員は下記のとおりです。
中邨 章(座長・明治大学名誉教授)
内田和夫(前全国都道府県議会議長会事務局次長)
金井利之(東京大学大学院教授)
駒林良則(立命館大学教授)
谷口尚子(慶應義塾大学大学院准教授)
土山希美枝(龍谷大学教授)
人羅 格(毎日新聞社論説委員)
眞柄秀子(早稲田大学教授)
多岐にわたる項目について研究され、23項目にわたる提言が行われていますので、1つずつ御紹介していきたいと思います。なお、なるべく読みやすくしたいので、かなり簡単な言い方に変えていますので言葉が乱暴な部分は御容赦ください。
まず、 「知事との関係における議会権能の拡⼤」の中で述べられた「議⻑に議会招集権を付与する」という点です。
案外知らない方もいらっしゃるかと思いますが、地方議会というのはいつも活動できるわけではなくて、首長が招集、つまり「用事があるので集まってくれ」というような呼びかけをして、それに議員が応えて集まらないと議会を開けません。ですから、極端な話、全議員が議場に集合しても、首長から招集されていないと「ただ集まっただけ」で、議会としての権能は全く発揮できません。つまり、首長が「議会なんて嫌だ」と言って招集しなければ、議会は全く活動できないわけです。
「二元代表制」と言いながら、首長さまからお呼びがかからないと何もできないのでは、いかにもアンバランスではないか、議会が自主的に議会を開くことができるよう法律を改正すべきじゃないかというのが、この1つ目の主張です。
「議会はもっと仕事をしろ」とお叱りを受けることもありますが、活動したくても招集してくれないとお手上げで、過去には首長と議会が激しく対立して、全く議会を招集しない首長もいましたね。ふとどきな首長に不信任決議をしてやろうと議会が考えても、今はその首長に招集してもらわないとできないわけですね。自分を首にしようと企んでいる議会をわざわざ招集する首長も、そういないでしょうし。
この提言については誠にごもっともな主張だと思います。まあ、通年議会制をとればその問題はなくなるのですけどね……。