都道府県議会制度研究会報告書(2)
昨日に続いて、提言のその2は「議会を議員と知事の討議の場とする」です。
私たちが一番よく目にする議会の情景としては、国会の予算委員会でのやり取りではないでしょうか。もちろん、国会中継ファンならもっといろいろな会議も見るでしょうが、一般の人にとっては、ニュースでよく流れる予算委員会でのやり取りが一番印象的だと思います。
首長も議員も、それぞれ選挙で選ばれてきますが、その支持者の層は様々です。どちらかというと議員のほうが地域代表、業界代表という性格が濃くなるのではないかと思いますが、そういういろんな立場の人たちが同じ土俵でしっかり議論して様々な施策を決めていくことは大切なことです。
そこで、議員と知事ががっちり討議できる場として議会を活用しなさいというのが、この2番目の提言です。国会の予算委員会のようなことをイメージすればよいのでしょうか。国会の予算委員会は人数も多いですから、地方議会から見ると本会議のような感じもありますが、提言では、具体的には「常任委員会でのやり取り」を想定しているようです。全員参加の完全公開の本会議ではどうしても形式的になる部分があるので、常任委員会でガチンコ勝負をしようということでしょう。
この辺、町村議会の方には少し違和感があるかもしれません。というのも、小規模な町村議会では委員会より本会議でガチンコ勝負をするところも少なくありません。それに対して、より規模の大きな都道府県議会では、どうしても本会議はセレモニー化するきらいがありますので、このような提言になったのでしょう。この辺、市議会でも規模によって随分事情は違ってくると思いますが、今回は都道府県議会での話ですから、注意が必要です。
提言の趣旨はよく分かりますし、そうなれば議会の質もより高くなるとは思います。ただ、幾ら委員会でとは言っても、今のように完全公開が求められる方向で果たして「脱形式化」は実現できるのでしょうか。事務レベルの技術的な議論なら完全公開でもいいですが、やはり政治的な思惑の絡む話になると、目の前にカメラがあったり、近くで地元の住民が聞き耳をたてている前では、突っ込んだ話もしにくくなることが心配されます。
都道府県議員は、選んでくれた選挙区のことだけ考えて仕事をしていればいいわけではなくて、やはり都道府県全体のことを第一に考えて仕事をすべき立場の人です。となると、例えば、地元の人たちにとっては余りうれしくない案件であっても、あるいは支持者から叱られそうなことであっても、都道府県全体のことを考えると進めざるを得ない事柄もあるでしょう。その辺を本音で議論せよというなら、公開・傍聴をどうするかといった面も合わせて考えないとなかなか難しいような気もします。
まあ、プロセスを見える化するのが議会だし、政治家なのだからそこは腹を据えて衆人環視の中で堂々と議論を闘わすべきだろうとは思いますが、やはり4年に一度の選挙という切実な問題もありますから、なかなか難しい部分がありますよね。