「告発」は「不信任」になるのか


東京都千代田区議会が混乱しているようですね。現場の関係者の皆さん、お疲れさまです。どうなるのか、私は高みの見物です。すみません。

混乱のわけは、区長がマンション購入で疑義を持たれ、議会が百条委員会を設置して追及、そこで区長が嘘の証言をしたと議会が告発、その告発を区長は自分に対する不信任と受け止め、議会を解散すると通知した。しかし、議会側は不信任ではないとし、両者の主張は平行線……ということのようです。

百条委員会というのは、地方自治法で定められているもので、議会側に強力な調査権を持たせた委員会で、そこに出頭を求められた者が嘘の証言をすると罰せられることになります。国会の証人喚問のようなイメージになりますでしょうかね。

「告発」については、地方自治法第100条第9項で、虚偽の陳述をしたと認めるときは「告発しなければならない」とされているので、議会側はそれに従って告発したわけです。正しい手続ではあるのですが、告発された相手が解散権を持っている区長だったので、ちょっと話がややこしくなっているわけですね。

区長は、議会から不信任の決議を受けたときは、それを受け入れて自ら職を失うか、逆に議会を解散するかを選択しなければなりません。今回は後者を選んだわけですが、そこで問題となるのは「告発は不信任決議となるのか」ということです。

普通に考えたら、根拠法令も違うし手続も違うので別物だと思いますが、告発は「多分、嘘だと思う」というような曖昧なレベルでするものではなく、議会側としては「クロ」だと信じて行うわけですよね。だとすると、議会側が望む結果は「虚偽の陳述と認められること」になります。これが虚偽の陳述だと判定されると、「三箇月以上五年以下の禁錮」になって、区長は失職します。

ということで、今回の告発は不信任決議を突きつけられたも同然じゃないかという主張も、分からなくもありません。不信任決議ではないという議会側の主張ももちろん理解できますが、不信任決議は、はっきり「不信任」という言葉が入っていなくても、実質的に内容が不信任と変わらないものであれば不信任に当たるという解釈もあるので、要注意の案件です。

今回は「虚偽の陳述及び証言拒否に対する告発について」というタイトルのようですが、ソーシャルディスタンスの時代でもあるし、安全を見越して議場への出席者を15人までに絞って採決しておけばよかったですね。(議員定数の3分の2以上が出席して可決しないと法的には不信任になり得ません)

まあ、すっきりさせるには解散覚悟の不信任決議議しかないのではとも思いますが、コロナで大変な中、そんな詰まらぬ理由で選挙というのもねえ……。告発に対する結果が早く出るといいんですが。

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