地方議員は必要か
議員の方にはちょっと反感を買いそうなタイトルですが、今日は新書の御紹介です。
2020年6月20日に発行された文春新書「地方議員は必要か 3万2千人の大アンケート」という本で、著者はNHKスペシャル取材班、発行所は文藝春秋です。
この手のものは結構出版されていますが、サブタイトルにあるように大量のアンケートの結果に基づいて書かれているのがこの本の特徴です。全国の地方議会議員全てにアンケートを実施し、59.6%の回答率を得たということです。パーセンテージだけ聞くとちょっと物足りない気もしますが、人数にすると約2万人ということで、なかなか貴重なデータだと思います。
内容は、詳しく書くとネタばれになってしまうので、取りあえず大項目だけ記しておきます。
①地方議会の役割は?
②なれ合い議会
③トンデモ議員列伝
④地方議会 女性議員は今
⑤なり手不足 その背景は?
⑥「ドン」が語る東京
⑦バッジのために何をしている?
⑧地方議会 議員の未来は
あと、心に残ったフレーズを少しだけ御紹介しておきましょう。
●首長と議会は両輪ではなく、両輪にするためには議員が目を開いて勉強しないといけない
●首長が住民との直接対話や民間組織・市民団体との交流をすると議会不要論が台頭してくる
●女性議員が増えると何が変わるのか
●女性議員は出産のためにどれぐらい議会を休んでいいのか
●町村議会議員の報酬が安過ぎる
●「答弁調整」の文化
●議員同士の議論は
アンケートから、いろんな事例も紹介されています。中には、「ほう~」と感心するようなものもあれば、「はあ?」というようなものもあって、なかなか面白い。アンケートも結構攻めている項目もあって、こんな聞き方をされたら腹が立って回答しない議員もいただろうなと思わせるような作りになっています。
議会の未来については、「地方議会が変われば日本が変わる」というようなことも書かれていますが、改めて考えると、地方議会の改革というのは「言うはやすし行うは難し」なのでしょう。それでも、小さな積み重ねがやがて……と思わせるような動きも、所によっては行われているようです。