「青春」の詩
私は、何だかんだいいながら約40年ずうっと本会議場に出続けていたわけで、そこではいろんなお話を伺ってきました。その中で、今も一番心に残っているのが「青春」の詩です。
既に鬼籍に入られた元知事さんが、あるとき、ドイツ生まれのアメリカの詩人サミュエル・ウルマン(Samuel Ullman)の「青春」という詩を答弁の中で紹介されました。「青春とは人生のある期間を言うのではなく、心の持ちようのことだ」というふうなお話だったと記憶しています。当時はまだ若かった私ですが、なぜか心に突き刺さったのを覚えています。
恥ずかしながら、そこで聞くまではその詩のことはよく知らず、早速、仕事帰りに本屋で探したことが懐かしく思い出されます。原題は「Youth」で、ウルマンが80歳の誕生祝いに自費出版した詩集の最初に掲載されている詩だとのことです。
内容を読むと、長い人生を歩んできた人がその人生を概括して感想を述べたものだと考えられますが、しかし、そこに書かれている言葉は、若い人にも、いや、若い人たちにこそ、一度は触れてほしい素晴らしいものでした。20歳代で初めてこの詩と出会った私は、やはり常に心のどこかにこの詩を置きながら、今まで生きてきたような気もします。
原典は英語ですから、当然、誰かが日本語訳をすることになります。何人かの方が翻訳されていますが、私は、はやり岡田義夫さんの訳が一番好きです。「星辰」「欽仰」「悲嘆の白雪」など、何とも言えぬ素晴らしい言葉が並んでいます。