都道府県議会制度研究会報告書(11)


提言の11は、「広報紙や議会報告会等は議会としての実績を発信する」です。

「議会だより」などの名前で、議会の広報紙を発行しているところは多く、その出来を評価してランキングをするといったことも行われたりしています。そのことの功罪はここでは触れませんが、「何をしているのか分からない」という批判も多い議会ですから、広報活動はとても重要なことになります。

提言では、「議会としての実績を発信していくことが肝要」と明記されています。このことの意味は大きく、「議会として」というところがポイントだと私は思います。「議員として」ではないということですね。

よくありがちな例として、質疑や一般質問をした議員の顔写真入りで、質問と答弁の要約が並べられ、それが紙面の多くを占めていたりします。確かに、議会活動の中で議員の質問は重く、そこにはかなりの時間も労力もかけらることになるわけですが、残念ながら、それだけでは「議会として」の意味をなしません。

乱暴な言い方をすれば、どの議員がどんな質問をしたかというのは、その議員個人に関わる問題です。もちろん、広く考えれば議会活動にはなりますが、「議会として何をしたか」という点で考えると、少しずれていると私は思います。そういうものは議員個人で運営するホームページなどでPRしてもらえば事足りるわけです。

広報紙の編集というのは実に大変な作業で、なかなか難しいことは分かりますが、私は、やはり人ではなく事件を中心に広報しないといけないのではないかと考えています。その議会で、どんな事件(議案など)があって、どういう経過を経て、最終的にどう結論づけられたのか、その辺の事情がよく分かり、読者に「なるほど」と思ってもらわねばなりません。

例えば、ある施設の使用料を値上げすることになったとき、どんな原案が提案されて、それについてどんな意見が出て、どういう修正が行われたのか、あるいは行われなかったのか、その決定に至った理由は何か、そういったことを丁寧にお知らせすることが主目的になるべきだと思います。

提言では、「議会評価を高めるためには、議会が議決した議案決定までの経過を明確にし、理由や議案施行後の住民生活への影響や変化等を報告する必要がある。また、採択した請願や、議決した意見書の実現状況、実現しない場合はその理由を明らかにすべきと考えられる。」とありますが、全くそのとおりだと思います。

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