都道府県議会制度研究会報告書(17)


提言の17は「会派の活動内容をできる限り公開する」です。

「会派」は、議会内で自然発生的につくられるグループのことです。議員は1人1人、直接選挙で選ばれますから個人単位で活動すればいいのですが、主義・主張が一致する議員たちが集まって1つのグループをつくって、会派として活動をする例もあります。

議員定数の少ないところでは会派を組むまでもないことが多いので、これはある程度の規模の議会でのお話になります。都道府県議会ぐらいの規模になると会派単位での活動がベースになり、市議会でも、政令市や中核市など、人数の多いところを中心に会派制がとられていると思います。

この会派、実は、かつては法的な根拠がありませんでした。まさに自然発生的に生まれたというだけのものだったわけですね。しかし、実際に会派が結成されると、会派専用の控室が設けられたり、担当の職員が張り付けられたりして、議会内では存在感のある組織になります。それでも、法的に認められたものではないので、その活動の扱いについては難しい面もあったわけです。

現在では、地方自治法第100条に「会派」という言葉が出てくるように、法的にも認められたものになっています。政務活動費を会派に支給しているところでは、その条例でも規定されているはずです。法的に認められて公費も支出されているということになると、会派での活動は実質的にも制度的にも公的な活動と考えるべきでしょう。

ということで、実際なにがしかの公費が会派に投入される場合、やはりその活動はしっかり報告してもらわないといけません。議会によっては広報紙で会派の主張を紹介していたり、視察報告書を詳細に載せているところもあります。
 (例)西宮市議会広報紙(会派の主張)、あきるの市議会(視察報告書

会派制は、一定規模以上の議会にとっては便利な側面もありますが、あまりに会派ということが前に出過ぎてしまうと、政党政治のほうに寄ってしまって、地方議会の面白みがなくなってしまいます。地域の住民は政党ではなく1人1人の議員を選んでいるんだということを忘れないで、会派というシステムを議会力アップのためにうまく活用していただければと思います。

ということで、今は「説明責任」の時代です。提言のとおり、しっかりPRしていってもらいたいと思います。

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