SNSへの投稿で懲罰


中央区議会で、懲罰動議が可決され、問題とされた議員は「戒告」処分を受けました。

まあ、このごろは行いの悪い議員の報道が続いているので、また同じようなものかと思っていましたが、今回のはちょっと違和感があります。ごく一部の報道でしか情報を得ていないので、誤解や間違いがあるかもしれませんが、以下、少し考え方を述べておきます。

問題の議員は、前日に採決が行われた教育委員の選任について、11月28日(土)に、「教育委員会の委員が区議会で何の議論もなく再選されるのが違和感しかない。少なくとも区民文教委員会に付託され審議されるべきでは。ICT化も進む教育現場において、70代以上の委員の他に、若く知見のある候補者がいなかったのか、庁内で議論はされたのだろうか。忖度にしか見えない。」とツイッターに書き込んだということです。

これが問題だとして懲罰にかけられ、いろいろ審議した結果、賛成多数で懲罰動議が可決されました。懲罰の種類としては一番軽い「戒告」になったということです。懲罰を審査する特別委員会では「採決で賛成しておいて後から文句を書くな」とか、いろいろな意見もあったようですが、私は「そもそも論」として違和感を覚えています。

誤解のないようにお断りしておきますが、私は当該の議員や、その議員が属する政党の支持者でも関係者でもありません。利害得失関係は皆無です。純粋に素朴な疑問としてのお話です。

私の感じた違和感は、「議会外のSNSという場で行った発言が懲罰事項になるのか?」ということです。

「懲罰」とは、地方自治法第134条で「普通地方公共団体の議会は、この法律並びに会議規則及び委員会に関する条例に違反した議員に対し、議決により懲罰を科することができる。」とされています。

この懲罰規定の対象となる行為(懲罰事犯)は、議会内での議員の行為に限られるというのが通説で、今回のようにSNSでつぶやいた行為は対象にならないのではないかと思います。「議会の運営と全く関係のない議場外における個人的行為は、懲罰事由とすることができない」との最高裁判例もありますが、今回のような懲罰が許されるのなら、その気になればいくらでも懲罰にかけられることになりはしないでしょうか。

一方で「議員の議場外における言動であっても、議会自体を誹謗して、その品位、権威を傷つけるような行為、あるいは会期外の行為であっても、議会運営に関する行為は懲罰の理由となり得る」という高裁判決も確かにありはしますが、上の書き込みの内容をこれに当てはめるというのはいかにも牽強付会ではないでしょうか。

懲罰は、選挙で多くの住民の支持を得て当選した議員を、議会のわずかな人数で失職させてしまえるほどの強力な規定ですから、その適用に当たっては十分過ぎるほど慎重でなければならないと思います。「あいつは気に入らんから、一発、懲罰でこらしめてやろう」というようなことではないと信じたいところですが、いかにも筋の悪い懲罰だったのではないかと思います。

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