交渉会派と議会運営委員会

会派が採決行動に及ぶす悪影響については昨日書きましたが、それ以外にも幾つか気になる点があります。今回、まずはタイトルに掲げたような問題について少し述べてみます。

「交渉会派」という言葉を聞いたことがあるかと思います。もう少し丁寧な言い方をすると「交渉権利を持った会派」といった感じでしょうか。

議会の運営について協議する議会運営委員会への出席要件として、「会派の所属議員数が○人以上いること」というような条件をつけているところが多いのではないかと思います。議員定数の少ないところでは議会運営委員会そのものの必要性が低くなりますが、ある程度の人数の議員がいる議会では必ずといっていいほど議会運営委員会が設けられていて、会派を代表する議員が出席して、議会の運営ルールを決めていくわけです。

「交渉会派」とは、そうした会議に出席できる会派のことです。仮に「所属議員が○人以上」という条件になっていると、その条件を満たさない会派(一人会派も含む)からは出席できません。議会の日程や議案の扱い、質問の方法など、重要なルールを決める議会運営委員会ですが、そこに出席することができないわけですね。もちろん、そこで決定された項目は、後に議会運営委員長や事務局から報告はされるでしょうが、自分たちの意見を述べて協議に参加することはできません。

議会運営委員会に関するルールは、条例や規則、申合せや慣例など、議会によって定め方がばらばらでしょうが、議員1人に与えられる権利は平等です。自分の所属する議会の運営に関する協議に全く関与できない議員がいるということは、本来許されないことです。「所属議員○人に1人ずつ委員を出す」という形は所属人数に比例する形なので合理的と言えますが、問題はその「○人」に満たない会派をどう扱うかでしょう。出席を認めないか、オブザーバー的な形で出席させるか、委員の1人として認めるか、この辺はその議会の性格がよく現れるところではないかと思います。

私は、たとえ1人の会派であっても、委員として出席させるべきだと思います。というより、出席させない理由が思いつきません。もちろん、議会運営委員の選出方法について、会派という要素を全く無視して、他の常任委員会などと同じように委員定数のみを定めて選出するというのなら構いませんが、「会派の代表者が集う会議」という要素があるなら、やはり全ての会派から出てもらうべきじゃないでしょうか。

議会運営委員会も、かつては法的根拠のない委員会だったので、そんな恣意的な運用でも通用したのでしょうが、法にも書き込まれた正式な委員会となったのですから、変な理論は持ち込まないでほしいですね。会派内で何かの会議を行う際に、「おまえは選挙の得票数が○票以下だから出席するな」なんて言われたら面白くないでしょう。



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