議会基本条例の正体

ちょっとショッキングなタイトルをつけてしまいましたが、議会の最高規範と言われる「議会基本条例」について、前から思っていることがあるので述べておきます。

議会改革度の指標の一つに「議会基本条例が制定されているかどうか」といった項目が入っていることがあります。それほど重要な条例だということでしょう。ただ、入れ物は同じ「議会基本条例」ではあっても、中身はかなり違っているということもあるように思います。

全ての議会基本条例を精査することは無理なので、ごくごく一部しか見ていない上での意見ということを、まずお断りしておきます。

議会基本条例の嚆矢は、御存じのとおり、北海道の栗山町議会が制定したものですね。「議会は、その持てる権能を十分に駆使して、自治体事務の立案、決定、執行、評価における論点、争点を広く町民に明らかにする責務を有している。自由かっ達な討議をとおして、これら論点、争点を発見、公開することは討論の広場である議会の第一の使命である。」と、目的が明確に書かれています。

私は、もともと理念条例と言われるものについては批判的な立場なので、議会基本条例の制定には大した意味があるとは思っていませんでした。

ところが、栗山町議会のものは、条文の端々から本気度が感じとれます。詳細については以下で御確認いただきたいのですが、一番心に突き刺さったのは、「議会は、議会が、議員、町長、町民等の交流と自由な討論の広場である」と認識しているところです。特に「町民等」と入っているところがすごいなと思いました。他にも「~なければならない」という条文が多いことからも、その熱さが感じられるように思います。

   栗山町議会基本条例

栗山町に次いで、都道府県議会で最初に議会基本条例が制定されたのは三重県議会だったと思います。議会改革の先進県なので、「やはり来たか」と思ったものです。ただ、前述のとおり、議会基本条例そのものについて批判的な立場だった私にとっては、三重県議会のものにはそれほどの熱量を感じなかったのも正直なところです。もちろん、進んだ面は幾つもあるのですが、栗山町議会のものと比較すると、「ふ~ん」という感じでした。

その後、雨後の筍じゃありませんが、次々と各議会で議会基本条例は制定されていきます。全てを見たわけではありませんが、私が見た分については、どれもこれも似たり寄ったりの理念条例に終始しているようにしか思えませんでした。私がお世話になった議会では、重鎮の議員が「そんな当たり前のことを条例で書いて何の意味があるのか」とおっしゃっていましたが、私もそのとおりだと思います。もちろん、全く無意味だとは思いませんが、「議員は、日常の調査及び研修活動を通じて自らの資質の向上に努めるものとする」なんて言われてもねえ、という気はします。

町民が議会活動に参加できるような措置を「講じる」、町民の専門的または政策的識見等を議会の討議に「反映させる」、陳情・請願の提案者の意見を聴く機会を「設けなければならない」など、議会の能動的な姿勢がうかがえる栗山町議会基本条例ならば、制定する意味もあろうと思います。議会モニターや議会サポーターの設置など、興味深い制度も書き込まれていて、実際のところはどうなのか、じっくりお話を伺いたいなと思っているところです。

もちろん、議会の規模による違い、また、条例制定後の実際の動きなど、総合的に評価されるべきことだとは思いますが、議会基本条例をさらっと表面だけ見て興味を失うということも多いので、それぞれの議会の実態はどうなのか、ぜひしっかり御確認いただきたいと思います。

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