議席の謎

本会議には議員全員が出席しますので、議員一人一人に1つずつ議席が用意されていますが、その議席はどんな順番で並んでいるのか気になりませんか。実は、一般の住民の方からもよくそんな質問を受けることがありました。法令には何の規定もないわけで、どこの議会でも慣例に従って決められているのだと思いますが、この機会に少し触れてみたいと思います。

議席の指定は、会議規則で「一般選挙後最初の会議において、議長が定める」とされています。先日選挙が終わったところでは、今、5月臨時会があちこちで行われていると思いますが、そこで決められるわけですね。以後4年間、原則としてずっとその議席のままで、学校のように定期的な席替えなどはありません。もちろん、任期途中で事情により議席を変更する必要が出てくることもありますが、その場合、都道府県議会と町村議会は議長権限で、市議会では会議に諮って、それぞれ変更することになります。

議席には、「番号及び氏名標を付ける」と、これまた会議規則で定められています。どの順番でつけるかは議場のレイアウトにもよりますが、一般的に、ベテラン議員ほど後ろのほうに座る傾向があります。会派制をとっているところでは、会派ごとにある程度固まって座る形になるでしょう。番号が議席の最前列左端から横に1、2、3……と振られている場合と、何席かを1ブロックとして縦に振られている場合などの差があり、それによって議席番号順に名簿を作ったときの並びも変わってきます。

ベテランほど奥に座るというのは、国会もそうなっているのでその辺を意識しているのかとも思いますが、「ベテランが後方から議場全体を見渡して経験の浅い議員の所作をチェックする」というもっともらしい理由もあるでしょうし、「前の方は目立って居眠りしにくいからか」といった意地悪な見方もできるわけですが、とにかく「慣例」で決められているところがほとんどだと思います。私の小学校時代はくじ引きで席を決めていましたので、そんな形でも面白いのにと思いますが、まあ、そういうわけにもいかないのでしょう。

音楽のライブなどでは、前のほうの席、あるいは中央の一番音のよさそうな席から順に埋まっていきますが、義務で受けさせられる研修会などでは後ろのほうから埋まる傾向があります。後者はやる気のなさが表れてしまっているわけですが、そういう点から考えると、議場ではできるだけ前のほうが人気があってしかるべき、なので、一番いい席を新人に譲るのだと、これまたそんな言い訳もできそうですね。

議員に当選することを「議席を得る」と言ったりしますが、それほど議席というものは重要なものです。でも、どの位置の席に座るかなんて、一般住民にとってはどうでもいい話です。たまに誰がどこに座るかで大もめをしている議会もあるようですが、そんな恥ずかしいことはどうか一般住民には気づかれないようにしてください。いい大人が席取りで喧嘩ですかと、幻滅されてしまいますから。

まあ、いろいろ思うところはあると思うので、一応の希望は言ってもいいでしょうが、慣例が大きく物を言う議会、無理にそこで喧嘩する必要もないと思います。

蛇足ですが、議場で居眠りや関係ない読書をすることは駄目ですが、同時に、会議規則で「会議中みだりに議席を離れてはならない」とされていることにも御注意を。少し離れた議員のところに行ってごにょごにょ何やら御相談なんていうことも駄目、「集中!」ですよ。