「はりぼて」の富山市議会

2016年に富山市議会で発覚した政務活動費の不正受給問題を覚えていらっしゃるでしょうか。請求書を水増ししたりして、2020年1月1日現在で全会派合計で6523万円の不正受給があったとして、次々と議員が辞職することになりました。結局、当時の議長も含めて14人の議員が辞職する大事件となったわけです。

この不正は、地元富山のチューリップテレビの記者たちの綿密な調査により表に出ることになったわけですが、その記者たちと議員たちの闘いの様子が、「はりぼて」というタイトルのドキュメンタリー映画として2020年に公開されました。私は残念ながら映画館に行く機会がなかったのですが、このたび、Amazon Prime Videoで配信されましたので、早速見てみました。

約100分の映画ですが、飽きることなく一気に見ることができました。これがフィクションなら、とても楽しい、いわゆる勧善懲悪ものの典型的なものとして気持ちよく見られたと思いますが、多少なりとも議会という機関、そしてまた役所と関わりのあった身としては、単純に笑ってばかりもいられませんでした。

議員や議会事務局、関係当局はもちろん、報道する側にも痛みのあった壮絶な闘いの記録だと思いますが、その後、富山市議会はどう変わり、現在はどうなっているのか、興味のあるところです。反面、この映画で描かれていることが全てでもなさそうな雰囲気もあるし、他の地方議会ではどうなんだろうという疑問も湧いてきます。

そもそも、国政の場であれだけいろんな疑惑が噴出していて、ほとんど解明されないまま放置されているような状況があるから、「地方も……」というような目で見てしまうのでしょうね。少し前、「罠の戦争」というテレビドラマもありましたが、国・地方を通じて表に出ない深い闇が一部で存在していることも間違いないのだろうなと、少し暗澹たる気持ちにもなってしまいます。

今回、統一地方選挙で多くの新人議員が生まれていると思いますが、ぜひ他山の石として一度ご覧いただきたいと思います。新人でない議員の方は、改めて身を引き締める思いでご覧いただければ幸いです。監督は五百旗頭幸男氏で、当時、チューリップテレビのニュース番組のメインキャスターをしていた方です。現在は石川テレビ放送でドキュメンタリー制作部兼報道部の副部長をされていると、ウィキペディアにはあります。

政務活動費絡みでは不祥事がたくさん起こっています。私はもともと政務活動費という制度自体に反対の立場だったのですが、その辺については長くなるので、また機会を改めたいと思います。