選挙と投票採決

5月臨時会が終わったところも多いと思いますが、新議会では、まず正副議長の選挙が行われたことと思います。そして、同時に議会選出の監査委員選任の議案についての採決もあったはずです。

正副議長については選挙で選ぶことになりますが、監査委員については投票により採決をしているところも多いのではないかと思います。もちろん、通常の起立採決でもいいわけですが、同じ議員の仲間の中から監査委員を選ぶことについて、起立採決だと誰が賛成して誰が反対したかが一目瞭然なのはちょっと……ということで、無記名投票で決定しているところも多いのではないかと思います。

どちらも、1人1枚ずつ投票用紙が配られて、それに記入して投票箱に入れるという形で、同じように見えますが、これは制度的には全く別物になります。

まず正副議長を選ぶほうですが、これは「選挙」です。議長に誰を選ぶか、副議長に誰を選ぶか、「人」を選ぶことになります。この場合、議長にも選挙を行う権利はありますから、投票総数は議場にいる議員全ての数ということになります。

対して監査委員を選ぶほうですが、これは首長から「監査委員に○○議員を選任したい」という議案が提出されて、議員はそれに賛成か反対か、自分の意思を示す形になります。それを起立ではなく投票で決するのが「投票採決」です。賛否を問う採決の場合、議長には採決権がありませんので投票はできません。したがって、投票総数は、議場にいる議員の中から議長1人を除いた人数になります。

簡単に言うと、「選挙」は選びたい人の名前を書くもの、「投票採決」は賛成か反対かを書くもの、ということですね。いずれの場合も、議場の閉鎖や投票箱の点検など、最初は奇異に感じるような手続があります。まるで手品師がマジックボックスを観客に見せるような「投票箱の点検」など、それを行う事務局職員も嫌だろうなと思っていつも見ていましたが、会議規則で定められているので省略するわけにはいきません。

電子採決システムを採用しているところでは、監査委員選任の件は他の議案と同様、そのシステムで採決されます。ただし、正副議長については、やはり選挙とならざるを得ません。



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