福島町議会の挑戦

今月号(2023年5月号)の「地方議会人」に北海道の福島町議会からの報告記事が掲載されました。いろいろ先進的な取組をされていて、いろんな受賞もされている福島町ですが、記事の中でも特に心に残ったのは「常識に疑いを持つことから」という点です。また、「今、議会がなくなったら困りますか」とか「議員はなぜ必要なのですか」と問われたときに明確に答えられる議員はどれだけいるかと、鋭い問いかけもされています。

気になったので、ホームページを拝見しました。すっきりした見やすいレイアウトで、様々な情報が掲載されていますが、まず驚いたのは「議会白書」です。最新号は全110ページで、「開かれた議会づくりの足どり」から、いろんなデータが掲載されています。大部なので全てに目を通すことはできていませんが、会議規則の改正も伴う様々な議会改革が実践されていることが分かります。他に、議会の活動全体に対する自己評価、議員一人一人が自分の議員活動に対して行う自己評価など、興味深い資料もあります。

議会基本条例も策定されていますが、ここも栗山町同様、「議会が、議員、町長、町民等の交流と自由な討論の広場であるとの認識に立って」と、そのスタンスを決めています。私はこの「町民等の交流と自由な討論の広場」と議会を位置づけているところがすばらしいなと思っています。議会基本条例は多くの議会で制定されていますが、議会と住民が同じスタンスに立つことを明確にしたものはあまりないような気がするんですよね。

今回の紹介記事は議長によるものですが、「常識に疑いを持つことから」ともおっしゃっています。これも大事な視点で、議会にある程度の期間いると、議員も事務局の職員も執行部の職員も、だんだん慣れて感度が鈍くなるんですよね。初当選のとき、あるいは初めて異動してきたときには異様に感じたことでも、しばらくすると慣れてしまって、そのことについて考えることをやめてしまう。そしてそれはやがて「常識」となって深く考えられることもなくなるわけですが、そうではなくて、常にそこに疑いを持つことが必要だということですね。

「議会の常識は世間の非常識」ということがよく言われます。新しい議会が構成されて、令和5年度もまだ始まったばかりですから、おかしな常識はないか、一度チェックされてみてはどうでしょうか。