議長選挙のミスで臨時会が流会

この季節、議長選挙絡みでいろいろなことが起こっていますが、今回は埼玉県の鴻巣市議会での事例です。

東京新聞によると、2023年5月18日に開かれた臨時会で議長の選挙が行われた結果、A議員とB議員が同数の得票数となりました。そのため、公職選挙法を準用して、くじ引きで議長当選者を決定することになったわけですが、臨時議長が「くじを引いてください」と言う前に、事務局職員が誤って抽選箱をA議員に差し出したため、A議員が引いたところ当たりくじだったということです。

議長が「くじを引いて」と言っていないのに引いてしまった形となって、議事進行の在り方に誤りがあるということになって本会議は休憩、その後いろいろと話し合ったのでしょうが、結局まとまらず、翌日の19日も本会議が開けないまま臨時会は流会となってしまったようです。

動画や会議録がまだ公開されていなので、議長の宣言がどこまで終わっていたのかが分かりませんが、この場合、通常は、①得票数が同じなのでくじで決定すること、②くじは2回引くこと(1回目はくじを引く順番を決めるくじ、2回は当選人を決めるくじ)を宣言し、③立会人の立会いを願って、④くじを引く順番を決めるくじを実施、⑤その結果を報告して、⑥当選人を決めるくじを実施、こんな感じで流れていくはずです。

報道によると「くじを引く順番は決まった」とのことなので、上の流れでいくと⑤ぐらいまでは終わっていたのでしょうか。とすると、残るは「●●君、くじをお引き願います」という一言だけだったのかなとも思ったりするわけです。まあ、事実は今後公開される動画か会議録で明らかになると思いますが、そこまでみんな納得して進んでいたところで、言わば単純なミスで混乱してしまったわけですね。それも、休憩して事態が収拾されたわけではなく、何と翌日の19日に予定されていた本会議も吹っ飛んで、そのまま自然閉会してしまったと。

当然、議長はまだ決まっていないので、もう一度臨時会を開いて議長選挙のやり直しを行うそうです。……と、ここまで聞いて皆さんはどう思いますか? ミスは仕方ないですよね。それも投票用紙の枚数が合わないとか、定足数が足りないとか、そんなことならまだしも、選挙をやって、同数になった後のくじ引きでのことでしょう。みんなくじで決めると分かっていて、引く順番も決まっていて、そのとおり引いただけでしょう。そりゃあ議長の宣言がなかったら無効だということも言えるでしょうが、いかにも大人げない。

百歩譲っても、翌日には決着をつけてほしかったですね。臨時会は議長選挙を行うだけではありません。ほかにも決めなきゃいけないことがあったはずですが、それらは全て流れてしまったのでしょう。そしてまた別の日に臨時会を開くと。まあ、得票数が同数で際どい戦いになっているという事情は一定理解しますが、外から見ていると、やはり「何やってるの?」といった感じになってしまいますよね。市長部局もいろいろ忙しいですから、議長の選挙だけなら自分たちだけでやってほしいものです。