特別委員会とは何ぞや?
議会の委員会については、地方自治法で、①常任委員会、②特別委員会、③議会運営委員会の3つが「置くことができる」と規定されています。「できる」規定なので、規模の小さい議会では設置する必要がなければ設置しないでもいいわけですが、数の多寡はあれ、幾つか設置されているところがほとんどではないでしょうか。
常任委員会については、担当する行政の部局単位で設置されることが一般的です。「健康福祉委員会」とか「文教警察委員会」とか、いろいろな形で設置されます。名称や数、委員定数などは各議会で異なります。以前は、議員は必ず1個の委員会に属さないといけないという自治法の規定がありましたが、今はその規定はなくなりましたので、常任委員会の設置についてはかなり自由度が上がっています。
特別委員会は、「議会の議決により付議された事件を審査する」ということで、特定の問題について集中的な審議をするために設置されるものです。通常、地方公共団体の事務については常任委員会が分担して全てカバーしているはずですが、その分担の枠を超えて特定の問題について部局横断的に集中的な審議をするために設けられるのが特別委員会です。
特別委員会についての議会の対応は大きく2つに分類されます。①は、その名のとおり、特別な事件についてのみ集中的に調査や審議を行うために設置するタイプです。これは、一定の結論が得られたら特別委員会は消滅します。②は、常任委員会のように任期中ずっと幾つかの特別委員会が設置され続けるタイプです。議員全員がどれかの特別委員会に入るように割り振られる例も多いようです。
①の代表的なものは予算・決算特別委員会などでしょう。予算や決算の審査を行うために設置されて、結論が出れば消滅します。毎年必ずあることなので常任委員会にするほうがいいんじゃないかと思いますが、特別委員会の形でやっているところもまだ多いのではないかと思います。
他には、最近では「新型コロナウイルス感染症対策調査特別委員会」のような形で設置されているところもありますが、そのような形で、時の課題に「特別」に対応するための委員会です。
②については、各議会で自由に決めていて、地域特有の問題を含んでいるものもあれば、常任委員会とのすみ分けが難しそうなケースもあるように思います。議会によっては委員長などの肩書きがつくと報酬が増えるところもあって「ポストのための設置か?」と勘ぐられるおそれもあるので、やはり設置したなら設置したで、住民が納得できるような「特別」な活動が要求されると思います。
常任委員会は行政の担当部局別に区切られているのが普通ですから、部局をまたぐ審議をするときには確かに便利ではあります。例えば、「子供対策」といっても、教育はもちろん、保健衛生、道路交通など、関係する部局は多いわけで、それらを一括して審議できるというメリットがある反面、本当に常任委員会では対応できないのかどうかといった点も考えないといけません。
私は、まずは常任委員会でしっかり審議を行って、どうしてもそれでは手に余るという場合のみ特別委員会で集中的にやるという形が本来だろうと思います。特別委員会1つでも、その活動のために費消される税金は一定あるわけですから、形だけつくって何をやっているのか分からないということでは駄目でしょう。集中的に議論を行った結果、○○○○条例案を○○特別委員会から提出することになったというような形を目指すべきだと思います。