入管法改正案の強行採決

2023年6月8日、参議院の法務委員会で入管法改正案(出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案)が、いわゆる強行採決され、可決しました。

法案提出側の説明文書には、いいことばかり書いていて、それだけを読むと改正むべなるかなと思います。反面、ウィシュマさんの悲しい事件を持ち出すまでもなく、反対している方々の意見にも、もっともだと思う点があります。いろいろ持ち出されるデータについて正確なものを持ち合わせているわけでもないので、私には法案の是非を論じる資格はありません。なので、法案の中身についてはちょっと横に置かせていただいて、「強行採決」という採決の方法について少し述べておきたいと思います。

まあ、既に長い時間をかけて議論をしてきた、しかし賛成・反対の両者の間には絶対に埋められない溝があって、もうこの方法しかなかったんだと言う人もいるでしょうが、やはりこういう形は議会の存在価値を問われてしまうのではないかと思います。熟議に熟議を重ね、賛成・反対の意見の中から妥協できる点を摘み取った、現在考えられるベストな法案ならいいですが、どうもそうは見えません。賛成側も反対側も、もう少し互いに譲歩できる部分はなかったのでしょうか。

力業でいいなら、提案説明の後、即決しちゃえばいいんですよね。そのほうが時間とお金の無駄がない。でも、議会とはそういう場ではないと思います。果たしてどれだけの議論がされたのか部外者には分かりませんが、何とも残念なことです。国会は議員数も多く、政党間の闘いも激しい場なので、こういう場面は過去に何度も見たことはありますが、そのたびに心が寒くなります。

地方議会でも強行採決という手法は当然起こり得ることで、私も実際にその場に立ち会ったことがあります。外から見ていると滑稽ですが、本人たちは必死でやっているのでしょうね。でも、やはり子供たちには見せたくない風景です。「多数決は民主主義の基本だ」と言う方もいるでしょうが、投票率を考えても、議員が住民の意見を本当に代表しているかが疑問な今、やはり謙虚で丁寧な手続を取っていくことが大切だと思います。

国政の場では、いわゆる党利党略、さらには解散・選挙といったものまで見え隠れするので、半ば諦めに似た気持ちも持ってしまいますが、地方議会では厳に慎んでほしい採決方法ですね。こういうことばかり行われると、私でさえ「議会なんて要らない」と思ってしまいますのでね。



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