「トリプル無投票」ショック
2023年6月5日の朝日新聞で、今春の統一地方選挙では、全国の16町村で「トリプル無投票」が、また全国の16市町村で「ダブル無投票」が、それぞれ起きていたことが報じられました。
「トリプル無投票」とは、道県議会議員選挙と町村長選挙、町村議会議員選挙の3つとも無投票だった、そして「ダブル無投票」とは、市町村長選挙と市町村議会議員選挙の2つで無投票だったということです。記事によると、前回の2019年の選挙のときより倍増しているとのことです。
トリプル無投票だったのは、北海道の乙部町、南竜町、沼田町、中頓別町、美幌町、滝上町、興部町、山形県の大蔵村、栃木県の芳賀町、群馬県の川場村、千葉県の鋸南町、山梨県の鳴沢村、岐阜県の坂祝町、静岡県の吉田町、福岡県の吉富町、熊本県の南小国町の16です。
ダブル無投票だったのは、北海道の赤井川村、下川町、中川町、苫前町、初山別村、鹿追町、更別村、幕別町、足寄町、新潟県の加茂市、石川県の川北町、長野県の豊丘村、岐阜県の白川村、奈良県の下北山村、鳥取県の日吉津村、熊本県の御船町の16です。北海道のトリプル、ダブルの合計が16と、なぜか16という数字がそろいましたね。
無投票というのは、選挙にかかる費用が少なくなるというメリットはありますが、有権者の投票権がなくなってしまうという大きなデメリットがあります。無投票にも、本当に立候補者がいない場合と、立候補の動きを封じ込めた結果の場合とか、いろいろ事情はあるのでしょうが、やはり好ましいことではないと思います。
中には何年も連続で無投票ということもありますね。もちろん、地域の住民が「この人しかいない」と認めて対抗馬が出ないというのならいいですが、無関心がゆえにそういう状態が続いているというのなら悲しいことだと思います。
一方、都会のほうでは候補者が乱立して、中には「???」というような候補者がいたりもしますので、それはそれでどうなのかとも思いますが、まあ、立候補は自由ですし、選択肢が増えるという意味では無投票よりはいいのでしょうか。
しかし、選挙という制度については、これだけ投票率が下がってくると、深刻を通り過ぎて、かなりやばいなと思います。有権者の半分も投票していなくて、そのうち半分ぐらいしか得票していないとなると、有権者全体からすれば4分の1に満たない信任ということになってしまうので、「我は住民代表」と胸を張って言いにくくなりますよね。
議員の成り手不足という問題、投票率低下の問題、これはなかなか改善されませんね。18歳から投票できるようにされましたが、それも大した効果は出ていないし。期日前投票できる場所がもっと増えると多少違う気もしますが、わざわざ車やバスで行かないと投票できないところではね。
お年寄りが歩いて行けたり、学生さんなどが自転車で行けるところ、あるいは通勤・通学の途中に気楽に寄れるところにあるといいんですけどね。そういえば、田舎では投票所のほうが車で移動してくるといった取組をされているところもありますね。