会派の悪しき例

少し前に「会派の功罪」ということを書きましたが、今回はその悪しき例の典型的なもののご紹介です。

NHKなどの報道によれば、秋田県議会では、さきの選挙の結果、自民党会派の議員が増えたため、「総括審査」の質疑時間について、自民党の持ち時間を増やす反面、1人会派の持ち時間を削減することに決めたとのことです。もちろん、減らされるほうは抵抗したようですが、数で押し切られた感じでしょうか。

「総括審査」なので、本会議の話ではなく予算特別委員会の話だと思います。日程表を見ると、予算については特別委員会に付託され、まず常任委員会単位の分科会で審議し、その後、全部局がそろう「総括審査」を行う形のようです。そこで、1人会派の持ち時間が従来の13分から8分に減らされたということです。

こういう事例を聞いて思ったのは、「自民党が増えたのなら、その分を増やせばいいわけで、何で他を減らすのとセットなの?」ということです。秋田県議会の予算特別委員会は定数41人、つまり全議員ですね。正副委員長を除いて実質39人と考えると、1人13分の持ち時間で全員がやったとしても全部で507分、つまり約9時間ですね。1日5時間やれば2日でも余るわけですが?

もともと13分という短い時間がどうなのかという議論はさておくとしても、せっかく長い会期制(年2回)をとっているのですから、審査を行う時間は十分あるんじゃないんでしょうか。常任委員会単位の分科会では、所管を越えることについて質疑はできませんから、全ての部局がそろい、知事にも直接質疑ができる機会はとても貴重なものだと思うのですが、そこで8分しかもらえないとは……。

国会でも、党首討論などで小会派が短い時間しかもらえず、早口で必死にやっているのはもはや気の毒としか言いようがないですが、こういう一つ一つのことが議会の形骸化につながっていくのではないかと思います。

まあ、いろんな事情があるのでしょう。慣例やら各種行事やら、会派間のせめぎ合いとか、外から見ているほど単純でないというのも想像はできます。でも、外から単純に見ていると、力を持った集団が弱小集団をいじめているようにしか見えません。

議員の質問権というのはものすごく重いものです。厳しい選挙戦に勝利した人にしか、その権利は与えられません。ならば、その権利を十分以上に発揮できるような運営を心がけるほうがいいんじゃないかと思います。

もちろん、発言する側にも、重複した内容は避けるとか、簡潔にただすといったことは求められますが、入り口は全員に平等に画一的に均等に、そんな形が基本だと私は思います。

秋田県は人口約92万人、常任委員会は、総務企画委員会、福祉環境委員会、農林水産委員会、産業観光委員会、建設委員会、教育公安委員会の5つ、特別委員会は予算特別委員会の1つ、そして議会運営委員会という構成です。






議員

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