傍聴者が黒岩知事に「居直るつもりか」

2023年6月15日の神奈川新聞によると、同日開かれた神奈川県議会の本会議で、提出議案の説明を黒岩知事が行っていたところ、傍聴席から男性が大声で、「居座るつもりか」、「女性蔑視」などと叫んだということです。

突然のことで、恐らく現場にいた皆さんはびっくりされたことでしょう。議長はすぐに休憩して静粛にするよう注意したとのことです。その後、その男性は保安員と共に退場し、議事は再開されたということです。

神奈川県議会の傍聴規則では、第12条(2)に「談話し、歌を歌い、大声で笑いその他騒ぎ立てないこと。」、(8)に「その他議場の秩序を乱し、又は議事の妨害となるような行為をしないこと。」とありますから、このいずれかで退場を命じられることになります。人によってはおとなしく退場してくれないこともあるので、そのときは警察官の動員といったこともあり得ます。

さて、この記事を読んでちょっと気になったことがあります。記事では「議長が「暫時休憩します」と議事を止めて静粛にするよう注意した」とありますが、本当にそうであるなら、厳密なことを言うとちょっと問題が出てきます。

議長の議事整理権は、あくまで「会議中」についてです。休憩してしまうと、議長の議事整理権は及びません。言わば、単なるお願いになってしまうわけですね。休憩してすぐ退場してくれれば、第11条(7)の「その他議事を妨害し、又は他人に迷惑を及ぼすおそれがあると明らかに認められる者」として再入場をさせないといった手も考えられるでしょうが、居直られてしまったらどうしようもありません。

一般的な対応としては、議会は止めずに、①傍聴席では静粛にするよう注意する。従わないときは、②もう一度注意し、従わない場合は退場してもらう旨を宣言する。それでも従わないときは、③退場を命ずる。それでも従わないときは、警察官の派遣を得て排除する。まあ、こんな感じでしょうか。

警察官の派遣については、議場の管理権は議長ではなく首長にあるので、首長と十分に連携することが必要です。警察官でなく事務局職員が強制的に退場させることについては、可能説と不可能説があるので、慎重にされるほうがいいかと思います。

神奈川県は、人口約923万人。議員定数105人、常任委員会は、総務政策常任委員会、防災警察常任委員会、国際文化観光・スポーツ常任委員会、環境農政常任委員会、厚生常任委員会、産業労働常任委員会、建設・企業常任委員会、文教常任委員会の8つ、

特別委員会は、共生社会推進特別委員会、安全安心なまちづくり特別委員会、産業振興・環境対策特別委員会、社会問題・健康医療対策特別委員会の4つ。予算委員会は、常任委員会、特別委員会のいずれにも属さないような形で書かれているのですが、これはどういう意味なのか、私にはちょっと分かりません。