福島第一原発の処理水放出と議会

2023年6月17日の河北新報に、「処理水放出控えているのに…言及議員ゼロ 漁業者の危機感に無関心? 宮城・石巻市議会」というタイトルの記事が掲載されました。

6月16日に閉会した石巻市議会、26人の議員が一般質問を行いましたが、処理水に関する質問は誰も行わなかったということらしいです。前回書いた記事とも関連があるので、少し書いておきます。

詳しい事情が分からないので表面的な話ばかりになってしまいますが、夏頃までに海洋放出が開始されるのではないかというこの時期、誰一人その問題に触れなかったというのは、やはり疑問に思われても仕方ないのかもしれません。

ひょっとしたら、いや恐らく、所管の委員会などでは議論があったのではないかと思いたいですが、地元の関係者にとっては大きな問題なので、全くの凪状態だったということであれば、こういった指摘を受けるのはやむを得ないかと思います。

石巻市議会では、令和3年6月定例会で、「多核種除去設備等処理水の海洋放出決定に反対する意見書」が可決されています。その意見書は、「ALPS処理水に対する理解が十分でない現状において、更には風評被害に対する具体的な対応策が示されていない状況下にあっては、海洋放出は認められず、断固反対するものであります。」と締めくくられています。その上で、この時期に何もアクションがなかったとするなら、その「風評被害に対する具体的な対応策」が十分示されているという認識なのでしょうか。

国と地元との細かなやり取りについては承知していないので、この程度しか私には書けませんが、こういうところで議会の存在価値をアピールしたいものですね。報道によると、5月22日には産業建設委員会が石巻商工会議所と意見交換をして、水産部会の関係者から「放出は絶対反対」との声も聞いていたようですが……。

意見書は、関係機関に送付して終わりではありません。「その後」が一番大事なわけで、2年前に可決した意見書はその後どう政府を動かしたのか、私が地元の住民だったらぜひ聞きたいところですね。

石巻市は、人口約13万人、議員定数30人、常任委員会は、総務企画委員会、環境教育委員会、保健福祉委員会、産業建設委員会の4つ、特別委員会は、総合防災対策特別委員会、地域交通対策特別委員会、少子化対策特別委員会の3つ、そして議会運営委員会という構成です。

議員定数が30人で、報道にあるように26人が一般質問をしたということになると、議長をのぞきほぼ全員、質問しなかったのは3人だけという状況だったのですね。

それなら、1人ぐらいはそういう質問があっても……と思うのも無理からぬことだとは思います。