ヤジは議場の華?

昨日、TikTokを見ていたら某区議会の本会議の様子が流れてきました。何かなと思って見ると、本会議中に傍聴席から男性が大きな声で発言していて、守衛さんに退場を求められているシーンでした。

詳しい内容は分かりませんが、ある議員が発言中に別の議員からヤジが何度か飛んで、そのことに対して抗議されているような感じでした。当然、議長は傍聴席から退場するように命令したのでしょうが、「ヤジを飛ばす議員がいるのに、何で私が退場せんといかんのか」というような感じのやりとりだったと思います。

まあ、部外者としては冷静に面白い事例として観察できるわけですが、当事者は(特に議会事務局は)大変でしょうね。お疲れさまです。

ところで、今回はそのことをどうこう取り上げるつもりはありません。考えてみたいのは、「ヤジ」というものについてです。

その方がおっしゃるように、誰かが発言しているときにヤジをたくさん飛ばすというのはいけないんじゃないかということですね。それはそのとおりで、例えば市議会の標準会議規則には以下の規定があります。

第50条 発言は、すべて議長の許可を得た後、登壇してしなければならない。
第153条 何人も、会議中は、みだりに発言し、騒ぎ、その他議事の妨害となる言動をしてはならない。

ヤジは、議長の許可を得ていませんし、場合によっては議事の妨害となることもあります。当然、議長は制止すべきですが、議会の文化として「ヤジは議場の華」という考え方があることも事実です。

ここぞというタイミングで絶妙のヤジを合いの手のように打つわけですね。議事を妨害というより、よりいい方向へ流す、そんな感じでしょうか。思わず議場全体が笑ってしまったりするようなヤジもあったりします。

国会の本会議や予算委員会の中継を見ていると、案件によってはひどいヤジが連呼されることがありますが、ああいうものは駄目ですね。一歩間違えば言論封殺にもつながりかねない暴挙なので、議長はすぐに制止してほしいものです。

地方議会では、あんな国会の悪しき例をまねることはやめていただきたいと思います。かつて、ヤジがもとで大きな問題に発展した地方議会もありましたが、やはりみんなが「華」と思えるようなものをここぞというときに出す、それだからこそ、議長も議場も、そして傍聴人も納得するわけです。

主義主張が違うからと、がんがん文句を言うようなヤジは、やはり受け入れられません。ヤジは不規則発言の一種になりますが、不規則発言であっても、場合によっては懲罰の対象になりますので、感情のままに発言していると後にえらい目を見ることにもなりますね。

そんな絶妙なヤジなんてあるか?とおっしゃる向きもあるでしょうが、私は実際に何度もそういうヤジに遭遇してきています。

議長の言うことを聞いてくれない場合は、最終的には地方自治法の規定によって処理されることになります。
議員の場合には、
第129条 普通地方公共団体の議会の会議中この法律又は会議規則に違反しその他議場の秩序を乱す議員があるときは、議長は、これを制止し、又は発言を取り消させ、その命令に従わないときは、その日の会議が終るまで発言を禁止し、又は議場の外に退去させることができる。
傍聴者の場合には、
第130条 傍聴人が公然と可否を表明し、又は騒ぎ立てる等会議を妨害するときは、普通地方公共団体の議会の議長は、これを制止し、その命令に従わないときは、これを退場させ、必要がある場合においては、これを当該警察官に引き渡すことができる。

みんな仲良しこよしのなれ合い議会では困りますが、かといって常にけんか腰でヤジを飛ばせばいいというものでもない。いい大人が集まっている議会なんですから、子供たちに胸を張って見てもらえるような形にしてもらいたいものです。