「本会議」の意味

会議録の作成は地方自治法の規定だと言いました。そして、その「会議録」とは本会議の記録だとも言いました。では、本会議とは何でしょうか? 委員会とは何が違うのでしょうか。

イメージとして、本会議は議員全員が出席する会議、委員会はあらかじめ選ばれた特定の議員だけが出席する会議といったことはお分かりだと思います。そして、首長が議案や施政方針について説明したり、議員による代表質問や一般質問をしたりする場だというイメージもあるでしょうか。

一般質問中に議席で居眠りをしたり、議場から出て行ったり途中から入ってきたりして批判を受けたりすることも多いので、何となくみんなで発表会のようなことをやっているだけと思っている方も、ひょっとしたらいらっしゃるかもしれませんね。もしそう見えるなら、それは議員や議会での議論の中身がスカスカだということになるわけですが、まあそれはさておき、本会議にはそれとは別にとても重要な意味があります。

それは何かというと「物事を決定する場である」ということです。議員は一人一人議決権を持っていて、その集合体としての本会議でその権利を行使して、議会としての意思を決定するわけです。この議決権は首長にはありませんので、どんなに有名なスーパー首長が誕生したとしても、議会がノーと言えば何一つ決まらず、何もできません。

首長と議会が対立してまってにっちもさっちもいかなくなってしまっている自治体もありますが、その議会としての意思を最終決定する場が本会議です。委員会はその前の段階のもので、委員会で何をどう決めようと、それは議会の意思とはなりません。最終決着はあくまで本会議です。

ということは、本会議というのは、その地方自治体の予算や、それをもとにした様々な事業について、ゴー・ストップを決める会議です。なので、その地方自治体の中で開かれる会議の中で最も重要な会議が本会議ということになります。大抵の議会では、事前に水面下で調整されて、本会議で採決が行われるときには筋書きが分かっているところが多いので、よほど重要か珍しい議案が採決されるとき以外あまり注目されませんが、そこが、その採決の場であるということが、本会議の最も重要な一場面であるわけです。

一般質問や質疑は、その前段階で疑義をただす場で、そこでしっかり議論をして、最終的な採決を行うということになります。何度も繰り返して恐縮ですが、「本会議は最重要会議」です。居眠りしている場合じゃないし、採決に当たっては、本当は1つ1つの議案について、賛成・反対の討論をしっかりやって、住民の前に効果や問題点を明らかにした上で、議員個人の考えに基づいて賛否を表明すべき場です。

議案の数も多くなると、その辺の本当は一番大事なところを飛ばした単なる数の確認作業だけになってしまいがちですが、本当はそれではいけないと私はずっと思っています。

昔は、「議場は戦場だ」と言われました。弾丸飛び交う戦場で寝ていたらすぐに撃ち殺されますよね。大きないびきをかいているなんて論外でしょう。「ああ、また長い時間座らなきゃならない、面倒だな」とか思っている議員の方がもしいたら、そこは本当に、本当に考え方を改めてほしいと思います。議員は、選挙で住民から貴重な1票を頂いて、それらの方の意見を代表して議場で賛否を表明できる権利を持って座っているわけです。

前に、河野大臣が国会で居眠りする議員が多い理由について「全てが自分に関係あるものでないから」などとふざけた言い訳をしていましたが、議員が仕事をする上において「関係ない」なんていうことはあり得ません。本会議でなされる議員の質問や答弁は、全て住民の生活に関わってくるものです。そのやり取りの一言一言にどんな重要なものが含まれているか分からないのに、「関係ないから」と居眠りをしていいとは、どういう了見なのでしょうか?

長くなってしまったのでこの辺にしますが、最後にもう一度。「本会議」は、当該地方自治体の中で行われる最も重要な会議です。最優先されるべき会議です。気軽に欠席するものでもないし、他のイベントとバッティングさせていいようなものでもありません。