沖縄県議会が「議決しない」ことを決定?

何と、タイトルのようなことが起こったようです。2023年9月26日の沖縄県議会本会議で、補正予算の議案について「委員会に付託せず、議会において議決すべきものではないとの決定を求める動議を提出いたします」という動議が出されて、賛成全員でそのように決定したとのことです。

ふむふむ、なるほど……と一瞬思いましたが、いや、ちょっと待ってください。そもそも「議決すべきものでないと決定する」なんていうことが許されるのでしょうか。皆さん、どう思われますか?

議会の権限(責務)として、地方自治法第96条には「普通地方公共団体の議会は、次に掲げる事件を議決しなければならない。」と明記されています。そして、その事件の中には「予算を定めること」があります。

もちろん、どんな議案でも受け付けるのかというと、例えば議案の体を成していないものなどは、議長の段階で受け取らず、その是正を求めるといったことはあり得るでしょう。しかし、今回の場合は、議長が受け取り、本会議の議題として上がっているわけです。つまり、正式な議案になっているということになります。

そうであれば、地方自治法第96条で「議決しなければならない」となっているわけですから、議決しないといけません。簡単なことですね。この場合の「議決」とは、可決か否決かしかありません。「議決しないと議決する」なんていう議決は考えられないわけで、早い話、議会としての権利放棄、もっと言えば責任放棄と言われても仕方ないのではないかと思います。

出てきた議案が気に入らなければ、否決すればいいんです。直接公の場で否決するのが嫌なら(それも変な話ですが)、閉会まで放置して廃案にするとか、継続審査にしてずっと採決しないという手もあるでしょう。地方自治法に違反している「赤字状態」の補正予算議案だからという理由のようですが、それを「議決しないことを議決する」というのも、やはり地方自治法違反になるのではないでしょうか。

まあ、選挙絡みの様々な事情や、事務的ミスが続いたとか、いろんな思いが重なって「議会として一発やっておかねば」ということなのかもしれませんが、そんな自らの責任を放棄するような議決をするよりは、執行部に対して猛省を求めるとか、誰かの責任を追及するとか、そういう決議でもするほうがいいのじゃないかと思いますが、いかがでしょう。

取りあえず、普通の形で採決まで持っていって、反対討論などでばんばん批判して、否決してやればいいんですよ。長が不満だとして再議に付しても、再び否決して、場合によっては長の不信任案でも出すとか、やはりちゃんと法と規則にのっとった形で対応してほしいと思います。

こういう形が許されるのなら、例えば少数会派が出してきて意見書案なんか、「議決しないこととする」と多数で議決してしまえば、全く日の目を見ることなく葬ることができてしまうのではないでしょうか。

まあ、結果的には知事の専決処分が行われるわけですが、本会議の場でちゃんと議案についての問題点などの議論もなしに「議決しない」とした議会については、何か、子供みたいだなと思うのは私だけでしょうか。

※すみません。否決されたら再議なんてできませんね。間違えました。