今度は埼玉県議会……。

このところ都道府県議会で変な動きが目立つような気がしますが、気のせいでしょうか?

さて、既に大きな話題となっている埼玉県議会の「埼玉県虐待禁止条例の一部を改正する条例」です。委員会段階では可決されたとのことで、本会議での採決は13日を予定しているようですね。

しかし、私のような凡人の頭では全く理解できない条例案が出てきたものです。改正のポイントは簡単に言うと以下の4点ですね。

①9歳以下の児童を自宅やその他の場所に残したまま外出しては「ならない」。
②10歳~12歳の児童については、①について「努めなければならない」。
③県は市町村と連携し、待機児童に関する問題を解消するための施策、児童放置の防止のための施策を「講ずるものとする」。
④県民は、虐待を受けた児童を発見した場合は、速やかに通告または通報を「しなければならない」。

①を「ならない」とするなら③も「講じなければならない」としてほしいですよね。「外出」と言われると、何か子供を放置して遊びにでも行くようなイメージもわきますが、そうじゃない「外出」のほうが多いわけで、その辺を責められると、ますます「子供なんて育てられない」というイメージも強くなるんじゃ?

詳細は、第25号議案「埼玉県虐待禁止条例の一部を改正する条例」と、「埼玉県虐待禁止条例」をご覧ください。

さて、皆さんはどう思いますか。「目指している方向は悪くないし、罰則規定がないんだから啓発の意味ではいいんじゃないか」と思われる方もいらっしゃるでしょう。あるいは、「あまりにも育児の実態が分かってないんじゃないの」と思われる方もいらっしゃるでしょう。私は、どちらかというと後者かな。やるならやるで、もうちょっとじっくり審議してほしいなと。

各社の報道では委員会でのやり取りの一部も紹介されていますが、それを見る限り、条例違反となる具体的なケースなどについては十分な検討がされず、理念だけが先走りして出てきたような感じがしますね。学童保育は待機が発生しているところもあるし、親の仕事の都合などでどうしても若干の隙間ができてしまうこともあるでしょうから、子育て家庭にとっては厳しい条例だと思います。

ところで、④の通報については、「虐待を受けた児童等」なので、①②の放置は虐待に当たらないという解釈でいいんでしょうね。条例の「虐待」の解釈を読むと該当しないはずですが、これがもし①②にも絡んでくると、嫌な社会になりそうですね。児童虐待防止法で言う「長時間の放置」の意味や、この条例の「等」の字がちょっと気になりますが……。

提案したのは自由民主党県議団(58人)で、公明党県議団(9名)が賛成と、報道では紹介されています。自民党は58名のうち女性は3名、その辺ちょっと気になりますね。議案が付託された福祉健康医療委員会は、定数12で、自民が7(正副委員長を含む)、公明が1人、民主フォーラム2名、共産1人、県民1人という構成です。委員長を除く11人で採決されますから、自民は6人で単独過半数を持っていて、公明党の1人が加わって可決ということでしょうか。女性は公明と共産がそれぞれ1、他は男性です。

埼玉県議会は議員定数が93人ですから、自民党の58人だけで過半数を占めているので、普通ならそのまま本会議でも可決でしょうか。反対派がどれだけ抵抗できるかですが、それはさておき、この議案の審議に対して果たしてどれだけの時間が費やされたのかは気になるところですね。質疑・一般質問で15人が質問に立っていますが、この条例について質問した人はゼロ。

日程を見ると、10月4日に一般質問は終わっていて、条例案の提出日も10月4日となっています。ということは、一般質問を避けて、その後に議案が出されて委員会に直送されたということなんでしょうか? もしそうなら、県民全員に関わる条例ですから、公開の場の本会議でもっと議論してほしかったと思います。委員会の日程は2日間(10月6日と10日)取っていますが、6日で採決してしまったということは、実質の審議時間は数時間? なかなかですね。

さて、反対派がどこまで抵抗できますでしょうか。委員長報告に対する質疑、討論、採決方法に関する議事進行、修正案の提出など、まあ方法はいろいろありますが……。